プラスチック射出成形金型に使用される鋼材は、主に30〜40種類ぐらいあり、適宜選択して使用されています。
樹脂が特殊な場合や金型部品特性が独特のノウハウを必要とする場合は、鋼材も特殊なものを使用します。
以下に、いくつかの参考事例を紹介します。
高耐磨耗・高靭性金型向け
マトリックスハイス
0.5/0.6C-3/5Cr-2/5Mo-1/3V
SKH51の炭素量を低減させ合金元素を調整した特殊鋼です。
コネクタ金型、電子部品金型に利用されています。
超鏡面・高耐磨耗・耐食金型向け
SUS420J2系+N系
SUS420J2にC、Cr、Nを添加。特殊溶解法P-ESR法により精錬される。
光ディスク金型、医療用具金型に利用されています。
超耐磨耗金型向け
高C高合金粉末工具鋼SKH40(粉末)
1.27C-4.3Cr-5Mo-6W-8Co粉末ハイス鋼
耐摩耗性は大変良好で、鏡面加工性も良い。
しぼ加工性も良好。
ガラス繊維入り樹脂金型やICモールドに使用されています。
超耐食耐磨耗金型向け
仕上後時効処理型SUS630系
0.05C-17Cr-4Ni-4Cu-0.3Nb
塩化ビニル、発泡樹脂、ゴム・エラストマーなどの金型に使用されています。
非磁性金型向け
高Mn鋼:SCMnH21
1.2C-13Mn-2.5Cr-0.6V
プラスチック磁石の成形金型に使用されています。
機械加工性が悪いので、特殊な工具と加工法が必要になります。
- ※
- 参考文献:『プラスチック金型用鋼の種類とその特性』型技術/第19巻第5号/p39(田部博輔)