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圧力センサの測定原理と出力仕様|ピエゾ抵抗式・静電容量式・差圧流量計測を解説

方式と出力形式から候補機種を絞り込むための技術ページです。測定原理(ピエゾ抵抗式・静電容量式・ひずみゲージ式)と出力仕様(電圧/電流/IO-Link)の特性を整理します。基準圧力の選び方や用途別比較は圧力センサとは(種類・選定)を参照してください。

目次

測定原理:ピエゾ抵抗式・静電容量式・ひずみゲージ式の仕組み

圧力センサは受圧部(ダイアフラム)の圧力変形を物理量変化として電気信号に変換し、変換方式によって感度・精度・応答速度・耐環境性が異なります。測定原理は、温度特性や得意な圧力範囲に影響するため、出力仕様や使用条件とあわせて確認します。

ピエゾ抵抗式(半導体式)

ピエゾ抵抗式は一般に、産業用途で広く採用されている方式です。シリコンなどの半導体をダイアフラムに使用し、その表面に拡散抵抗でホイートストンブリッジ回路を形成します。圧力によってダイアフラムが変形するとブリッジ抵抗値が変化し、不平衡電圧として圧力に比例した出力が得られます。感度が高く、小型化・低コスト化が可能なため、産業用圧力センサで広く採用されています。ただし温度依存性があるため、精度の高い用途では温度補償回路が組み込まれた機種を選定します。

静電容量式

静電容量式は、ダイアフラムと固定電極の間隔が圧力によって変化すると静電容量が変化する原理を利用します。ピエゾ抵抗式より温度特性が良好で、微差圧や絶対圧の計測に用いられることがあります。クリーンルームの差圧管理や空調・環境計測など、低圧範囲での精度が求められる用途で採用されます。

ひずみゲージ式(金属薄膜式など)

金属ダイアフラム上にひずみゲージを形成し、圧力変形によるひずみを電気抵抗変化として検出します。耐衝撃性・耐サージ圧に優れ、油圧など高圧・動圧変動の激しい用途に適しています。食品・薬品配管など接液部の材質選択自由度が高い点も特徴です。

方式検出原理適した圧力範囲の傾向温度特性主な用途
ピエゾ抵抗式(半導体式)シリコンダイアフラムのブリッジ抵抗変化低圧~中高圧域に適する製品が多い温度補償機能を確認汎用空圧・水圧・産業機械
静電容量式電極間ギャップ変化による容量変化微差圧~低圧域に適する製品が多い良好微差圧・絶対圧・環境計測
ひずみゲージ式(金属薄膜)金属ダイアフラムの抵抗変化中圧~高圧域に適する製品が多い良好油圧・高圧プロセス

温度補償:温度ドリフトの要因と方式別の温度特性

ピエゾ抵抗式(半導体式)は感度とゼロ点が温度の影響を受けやすく、温度ドリフトが計測誤差の主因となります。高精度用途では温度補償機能を内蔵した機種を選定し、静電容量式・ひずみゲージ式は相対的に温度特性が良好なため低圧高精度や高圧用途で使い分けます。

温度ドリフトには、無加圧時の出力がずれる「ゼロ点ドリフト」と、感度がずれる「スパンドリフト」があります。半導体式は拡散抵抗自体が温度係数を持つため、温度補償がない場合、温度変化により誤差が大きくなる可能性があります。温度補償回路(サーミスタ等による補正、またはデジタル補正)を組み込んだ機種は、規定の使用温度範囲内で温度誤差を抑制します。

静電容量式は電極間ギャップの容量変化を利用するため熱膨張の影響が相対的に小さく、微差圧域で安定した測定に適しています。ひずみゲージ式(金属薄膜式)は金属ダイアフラムを用いるため温度特性が良好で、温度変動と高圧・動圧変動が共存する油圧用途に適します。仕様表では使用温度範囲に加え、温度誤差(%FS/℃ または規定温度範囲での総合温度誤差)を確認し、設置環境の温度変動幅に対して許容誤差内に収まる機種を選定します。

出力仕様:電圧・電流・スイッチング・IO-Linkの選定

出力形式はPLC・計装システムの入力仕様に合わせて選定するのが原則で、伝送距離・ノイズ環境・診断要件で、アナログ電圧出力、アナログ電流出力、スイッチング出力、デジタル通信を使い分けます。同じ検出方式でも出力仕様の違いが配線設計とシステム構成を左右します。

アナログ電圧出力(0~5V・1~5V・0~10V)

圧力に比例した電圧を出力する形式です。入力インピーダンスの高いAD変換機器と組み合わせる場合や、短距離・低ノイズ環境に適します。配線長が長いと線抵抗・ノイズの影響を受けやすいため、長距離伝送には不向きです。1~5Vなど下限にオフセットを持つ仕様は、0V付近で断線・故障を判別しやすい利点があります。

アナログ電流出力(4~20mA)

圧力に比例した電流を出力する形式です。電流ループは線抵抗の影響を受けにくく、長距離伝送に適しています。断線時は通常の4~20mA範囲外となるため、入力機器側で異常検出に利用できます。

スイッチング出力(NPN/PNP)

設定したしきい値の上下でON/OFFする接点信号のようにON/OFFを扱えるトランジスタ出力で、シーケンス制御のトリガーに特化したシンプルな構成にしやすい出力形式です。2系統の出力を持ち上限・下限を独立設定できる機種もあります。連続した圧力値の計測には対応しないため、トレンド監視や比例制御が必要な場合はアナログまたはデジタル出力を選びます。

デジタル通信(IO-Link、Modbusなど)

IO-Link対応機種はIO-Linkマスタを介して圧力値に加え診断情報・パラメータ設定をデジタルで授受でき、設備のスマート化・予知保全に対応します。アナログ伝送路や受信側AD変換で生じる追加のノイズ・誤差を回避できます。一般的な3線式配線で使用できる機種があります。Modbus等のフィールドバス対応機種は計装ネットワークへの統合に用いられます。

出力形式伝送特性断線検知主な適用
電圧出力(0~5V/1~5V/0~10V)短距離向き・線抵抗の影響あり下限オフセット型で判別可短距離・低ノイズ環境のアナログ入力
電流出力(4~20mA)長距離・高ノイズ耐性範囲外の値で入力機器側が判別可プロセス計装・長距離伝送
スイッチング出力(NPN/PNP)ON/OFFのみ・連続値不可出力状態や診断仕様に依存しきい値判定・シーケンス制御
デジタル通信(IO-Link/Modbus)デジタル・診断情報を授受通信診断で検知スマート設備・予知保全

差圧検出と流量算出:差圧式流量計測の原理

差圧センサは2つの圧力入力ポートの差(P1-P2)を計測し、絞り機構と組み合わせると流量計測に応用できます。可動部品がなく差圧式は高温・高圧流体にも適用しやすいため、産業プロセスで広く用いられる計測方式です。差圧式流量計は、配管に絞り機構(オリフィス・ベンチュリ管・フローノズル等)を設け、その前後で発生する差圧を差圧センサで計測して流量を算出します。

ベルヌーイの定理と流量算出の原理

差圧式流量計測の基礎はベルヌーイの定理です。連続する流体の配管に絞り部を設けると、絞り部で流速が増加し静圧が低下します。この前後の静圧差(差圧:ΔP)と流量(Q)の間には次の関係があります。単相・定常流などの条件下では、体積流量 Q は簡略的に次のように表せます。

Q = C × A × √(2ΔP / ρ)

ここでCは流量係数、Aは絞り部の断面積、ρは流体密度です。差圧センサでΔPを連続計測し、PLCや計装コントローラでこの演算を行うことで流量が求まります。密度は体積流量の算出にも必要です。密度が変動する流体では、密度を別途リアルタイム計測することで、より正確な質量流量を算出できます。

圧力センサ(差圧センサ)と流量センサの役割分担

差圧センサ単体では差圧値しか出力しませんが、上位コントローラが差圧値から流量を演算する構成が基本です。一方、電磁流量計やコリオリ式流量計などの流量センサは、流量値を直接出力できる製品が多く、オリフィスのような絞り機構を設けずに流量を測定できる方式もあります。差圧式はイニシャルコストが低く構造が単純な反面、絞り機構による圧力損失と流量係数のキャリブレーションが必要です。用途・コスト・精度要件を踏まえて使い分けてください。

比較項目差圧式(圧力センサ+絞り機構)専用流量センサ(電磁式・コリオリ式等)
流量の直接出力不可(上位演算が必要)可能(センサ単体で流量出力)
圧力損失あり(絞り機構による)方式により異なる。電磁式は小さい傾向
可動部なしコリオリ式はなし、容積式はあり
イニシャルコスト低い(機種による)高い(機種による)
高温・高圧への適用容易(オリフィス+高圧差圧センサ)機種選定が必要
腐食性流体への適用接液部材質、導圧部、シール材、絞り機構の材質選定が必要内面材質・ライナ選定が必要

空調設備でのダクト風量計測や、工場エアラインの消費流量モニタリングにも差圧センサが用いられます。エアフィルタ・オリフィスプレート前後に差圧センサを設置し、計測した差圧値からPLCで風量演算を行う構成が代表的なシステム例です。

実装上の注意:耐圧設計・受圧材質・保護等級(IP等級)・プロセス接続・精度の確認ポイント

方式と出力を決めた後は、耐圧・受圧材質・プロセス接続・精度の物理条件が機種選定に大きく影響します。一項目だけで選ぶと設置環境やシステム要件との不整合が生じるため、以下の物理条件を併せて確認します。

1. 耐圧設計(フルスケール・過圧保護・サージ圧)

センサの測定レンジは、通常使用時の圧力がレンジ内の適切な範囲に入るように選定します。過大なフルスケールを選ぶと低圧域での分解能・精度が低下します。逆にフルスケールが小さすぎると過圧によるセンサ破損リスクがあります。サージ圧(水撃・脈動)が発生するラインでは耐圧(バースト圧・過圧保護圧力)仕様も必ず確認します。

2. 圧力媒体(流体種別)と受圧部材質

受圧ダイアフラムと流体が直接接触するため、流体の腐食性・粘度・粒子(スラリー)含有量に適した材質を選定します。SUS316L(汎用液体・弱腐食性)、ハステロイ(塩素系・強酸)、セラミック(強腐食性・研磨性スラリー)、PTFE(強酸・強アルカリ)などが候補になりますが、適合可否は媒体条件によって異なります。純水・超純水では、金属イオン溶出や接液部の清浄性を確認します。

3. 出力仕様とインタフェース

PLCのアナログ入力(電流入力:4~20mA / 電圧入力:1~5Vまたは0~10V)に合わせて出力形式を選定します。4~20mA電流出力はノイズ耐性が高く長距離伝送(数百メートル)に適しています。近年はIO-Link対応の圧力センサも増えており、IO-Linkマスタを介してデジタルデータ・診断情報を取得でき、設備のスマート化に対応できます。スイッチング出力(2系統のNPN/PNP)のみの機種はシーケンス制御のON/OFFトリガーに特化した低コスト機種です。

4. 保護等級(IP等級)と設置環境

センサ本体の防じん・防水性能はIP等級で確認します。液体飛散や噴流水がある環境ではIP65以上、一時的な浸水リスクがある環境ではIP67、継続的な水没が想定される場合はIP68など、設置条件に応じて確認します。高温・高圧水噴流を受ける環境では、IP69またはIP69K対応品の選定を検討します。食品・製薬設備でCIP/SIPが必要な場合は、IP69またはIP69Kへの対応に加えて、接液部材質、シール材、洗浄剤耐性、蒸気滅菌条件、サニタリ接続も確認します。

5. 電源電圧・プロセス接続規格

DC24V系、DC10~30V対応品などが使用されます。プロセス接続(配管ポート)はテーパねじが国内標準で、欧州規格ではG(ストレートねじ)が多用されます。ほかにNPTなどもあります。カタログやメーカー表記では「1/4PT」のように旧来の慣用表記PTが使われる場合があり、多くは管用テーパねじを指します。プロセス接続規格の不一致は配管漏れの原因となるため、既存配管のポート仕様を事前に確認してから選定します。

選定項目確認すべき仕様選定の目安・注意事項
測定レンジフルスケール・過圧保護圧力通常使用時の圧力が測定レンジ内の適切な範囲に入るように選定
圧力媒体流体種別・腐食性・粒子含有SUS316L(汎用)・セラミック(腐食性スラリー)・PTFE(強酸強アルカリ)
出力形式4~20mA / 1~5V / NPN SW / IO-LinkPLCアナログ入力仕様に合わせる。長距離は4~20mA
IP等級IP65 / IP67 / IP69またはIP69K水没・洗浄環境はIP67以上。高温洗浄はIP69またはIP69Kを確認
プロセス接続Rc・R(PT表記の場合あり)・G・NPT等既存配管ポートのねじ規格(テーパ/ストレート)を事前確認
電源電圧10~30V DC / 24V DC専用 等制御盤の電源仕様と一致させる
精度・再現性総合精度(%FS)用途の要求精度に対して、%FS、温度誤差、繰返し性を確認する

よくある質問

ピエゾ抵抗式と静電容量式の測定原理はどう違いますか?

ピエゾ抵抗式はシリコンダイアフラムに拡散抵抗でホイートストンブリッジを形成し、圧力変形による抵抗変化を不平衡電圧として出力します。感度が高く小型・低コストですが温度依存性があり温度補償回路を要します。静電容量式はダイアフラムと固定電極のギャップ変化を静電容量変化として検出し、低圧・微差圧域の計測に適する製品が多い方式です。

圧力センサの温度補償はなぜ必要ですか?

ピエゾ抵抗式(半導体式)は感度・ゼロ点が温度の影響を受けるため、温度ドリフトが計測誤差となります。精度の高い用途では温度補償機能が組み込まれた機種を選定します。静電容量式やひずみゲージ式は相対的に温度特性が良好です。

出力が4~20mAと0~10Vではどちらを選べばよいですか?

配線長が長い場合やノイズが多い環境では4~20mAを検討します。電流出力は線抵抗の影響を受けにくく、長距離伝送に適しています。断線時は通常の4~20mA範囲外となるため、入力機器側で異常検出に利用できます。0~10V電圧出力は入力インピーダンスの高いAD変換機器や、短距離・低ノイズ環境で使用します。PLCのアナログ入力カードの対応形式を確認して選定してください。

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