ファイバセンサは、ファイバの材質・先端形状・アンプ機能の3要素を組み合わせることで、設置環境・検出対象・運用条件に応じて機種を絞り込めます。高温環境では耐熱仕様のガラスファイバ、柔軟な配線が求められる一般環境ではプラスチックファイバが候補になります。薬液環境では、ファイバ材質だけでなく、接液部・被覆材・保護構造の耐薬品性を確認することが重要です。検出対象のサイズや形状に応じて先端形状を選び、ティーチングや出力形式などの運用条件はアンプ機能で検討します。
仕様から光電センサ・ファイバーセンサを絞り込む
このページの目次
- ファイバーセンサの構成:アンプユニットとファイバヘッドの分離構造
- 光ファイバの種類と特性:ガラス vs プラスチック
- ファイバヘッドの形状・構造バリエーション
- ファイバアンプの機能:デジタル表示・ティーチング・タイマ機能
- 複数のファイバをまとめて管理:マルチチャンネルアンプ
- よくある質問(FAQ)
ファイバーセンサの構成:アンプユニットとファイバヘッドの分離構造
アンプユニットの役割
ファイバアンプユニットは、ファイバーセンサの「頭脳」に相当する部分です。内部にLED(発光素子)・フォトダイオード(受光素子)・増幅回路・比較回路・出力回路・デジタル表示部を収め、以下の機能を担います。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 投光(発光) | LEDなどの発光素子からの光を投光側ファイバへ入射し、ファイバヘッド先端から照射する |
| 受光・増幅 | ファイバヘッドで受け取った微弱な反射光・透過光をフォトダイオードで受光し、電気信号に変換して増幅する |
| しきい値比較・出力 | 増幅された受光量とあらかじめ設定したしきい値を比較し、ON/OFFの検出信号を出力する |
| デジタル表示 | 受光量をデジタル数値で表示し、感度調整・診断を容易にする |
ファイバヘッドの役割
ファイバヘッドは光の「通路」です。多くの汎用ファイバユニットでは、多数の光ファイバ素線を束ねて構成されており、通常、先端側には電子回路を含みません。仕様に適合するファイバユニットを選定すれば、高温部、薬液雰囲気、狭小部などへ検出部を配置しやすくなります。電気信号を扱うアンプを離して設置できる点も利点です。先端のレンズや集光構造によって、検出スポットの形状・サイズ・検出距離特性が決まります。
信号伝達の流れ
アンプのLEDが発光 → 投光ファイバを通じて先端から対象物へ光を照射 → 対象物で反射(または透過)した光が受光ファイバを通じてアンプの受光素子へ到達 → 受光量を増幅・しきい値と比較 → 出力信号(ON/OFF)をPLC・コントローラへ送信。この一連の流れが数百μs~数ms程度(数十μs程度の高速品あり)のサイクルで繰り返されます。
光ファイバの種類と特性:ガラス vs プラスチック
詳細比較
| 比較項目 | プラスチックファイバ | ガラスファイバ |
|---|---|---|
| 耐温度 | -40~+70°C程度 | -60~+350°C程度までの高温対応品あり |
| 最小曲げ半径 | 1~10mm程度(柔軟) | 10~30mm程度(やや硬い) |
| 薬品耐性 | 材質や被覆に依存する。PMMAなどは有機溶剤に注意が必要。 | ガラス自体は耐薬品性に優れる場合があるが、被覆材や先端部材の確認が必要。 |
| 耐振動・耐衝撃 | 高い(折れにくい) | やや低い(折れると再接続不可) |
| コスト | 低い | 高い |
| 主な用途 | 一般製造ライン・電子部品 | 高温設備・炉周辺など |
※記載の数値・特性は一般的な目安です。実際の耐熱温度、許容曲げ半径、耐薬品性、検出距離などはメーカー・型式により異なるため、選定時は各製品の仕様を確認してください。
シングルモードとマルチモード
工業用のON/OFF検出用ファイバーセンサでは、通信用光ファイバのようにシングルモード/マルチモードを選定軸にするよりも、検出方式、ファイバ材質、先端形状、スポット径、検出距離、耐環境性を優先して選定するのが一般的です。多くの汎用ファイバユニットでは、複数の光ファイバ素線を束ねた構造が用いられます。束ねる素線の数・コア径・束の形状によって集光量と検出スポット形状が変わります。通信用途で用いられるシングルモードファイバは工業用センサには一般的に使用されませんが、特殊な高精度計測用途で採用される場合があります。
ファイバヘッドの形状・構造バリエーション
ファイバヘッドは、取付形状、検出方向、投受光構造の違いで整理できます。検出対象のサイズ・形状、設置スペース、光を当てる方向に合わせて選定します。
取付形状
ねじ型・ナット型
ねじやナットで固定する標準的な取付形状です。一般的な製造設備で幅広く使用され、取付スペースや必要な検出距離に応じてサイズを選定します。
円柱型・角型
円柱型は細い形状のため、幅のとれないスペースへの設置に適しています。角型を含め、取付場所の形状やスペースに合わせて選定します。
フラット型
薄型のファイバヘッドで、取付スペースが限られる場所に適しています。
スリーブ型
先端部が細いスリーブ形状で、狭い場所やワークに近い位置での検出に適しています。機種によってはスリーブ部を曲げられるタイプもあります。機種によっては極細タイプもあり、微小部品やコネクタ端子などに近づけて検出できます。
検出方向
トップビュー型
ファイバヘッドの軸方向に光を射出・受光する一般的なタイプです。
サイドビュー型
先端で光を90°方向に曲げ、ファイバヘッドの軸に対して横方向を検出するタイプです。直進方向にファイバヘッドを配置できない狭い場所などに適しています。
投受光構造
反射型では投光用・受光用ファイバを先端部に配置し、透過型では投光側と受光側を対向させて使用します。
反射型
投光ファイバと受光ファイバを同じヘッド内に配置し、ワークからの反射光を受光して検出するタイプです。
先端形状イメージ(断面):投光ファイバと受光ファイバが交互に配置された円形断面の例
○○○○○
○●○●○●○
○●○●○●○●○
○●○●○●○
○○○○○
○=受光ファイバ素線 ●=投光ファイバ素線
※素線の配置は製品により異なります(配置例:同心円・分割・ランダム等)。
同軸反射型
投光用ファイバの周囲に受光用ファイバを配置した反射型です。近距離での小型物体検出や、光沢物体が傾く用途などで、標準的な反射型より安定した検出が期待できます。
ファイバアンプの機能:デジタル表示・ティーチング・タイマ機能
デジタルディスプレイによる受光量表示
現代のファイバアンプはデジタル数値で現在の受光量をリアルタイム表示します。ワーク有り・無し時の受光量を目視で確認でき、感度マージンの評価・しきい値の手動設定が直感的に行えます。2段表示タイプでは受光量としきい値を同時に表示します。
ワンタッチティーチング
ティーチング機能は、ワーク有り・無しの状態をボタン操作で順に記憶させると、センサが自動的に最適なしきい値を算出する機能です。2点ティーチング(ワーク有り・無しの2点を登録)と1点ティーチング(ワーク有りまたは無しの1点を登録)のほか、オートティーチング、位置決めティーチングなどの方式があります。初期設定の時間短縮と、手動設定ミスの防止に大きく貢献します。
ON/OFFディレイタイマ機能
検出信号のONまたはOFF後に、設定した時間だけ出力状態を保持する機能です。ONディレイは検出成立後に出力ONを遅らせ、OFFディレイは検出解除後も一定時間ONを保持します。高速で通過するワークの検出(ON遅延なし・OFF遅延で出力幅を延長)や、振動によるチャタリング防止(ONディレイで短時間の誤検知を除去)に活用されます。
その他の機能
| 機能 | 説明 | 効果 |
|---|---|---|
| 断線検知機能 | ファイバヘッドの接続状態を監視し、未接続・断線を検出してエラー出力 | 断線を素早く検知でき、停止の原因特定が容易 |
| ECO(省エネ)モード | 常時投光をサンプリング投光に切替え、消費電力を削減 | LEDの長寿命化と省エネ |
| アナログ出力 | 受光量を0~10Vまたは4~20mAのアナログ信号で出力 | 対象物の反射率が一定であることを前提に、受光量の変化を距離・厚みの目安として活用できる(反射率が変動する対象には不向き) |
複数のファイバをまとめて管理:マルチチャンネルアンプ
複数チャンネルを1台または連結構成で管理できるアンプがあります。設備内で多数のファイバーセンサを使用する場合に、省スペース・省配線・一元管理のメリットをもたらします。
主なメリット
| メリット | 説明 |
|---|---|
| 省スペース | 複数チャンネルを1台に集約することで制御盤・DINレールのスペースを削減できる |
| 省配線 | 電源・コモン配線を共有でき、配線数と工数を削減できる |
| 一元管理 | 複数チャンネルの受光量・しきい値を1か所で確認・設定できる |
| 干渉防止 | チャンネル間で投光タイミングをずらし、相互干渉を防止できる |
4~16チャンネルを1台に収めたものがあります(機種により異なるので、正しくは仕様をご確認ください)。SMT搭載ラインのような多点検出設備で特に効果的です。各チャンネルを個別に設定でき、チャンネルごとの感度・ティーチング・タイマ設定を独立して管理できます。