各種直動機構部品との違い（無給油ブッシュとは）

直線運動をする際にも摩擦は発生する。その摩擦を低減するための機械装置があり、その装置で精密な位置決めをするときに使われるのが主に転がり摩擦を利用した直動機構部品である。（直動とは、直線運動のこと。まっすぐに直線運動をするときの、摩擦を低減させる機械装置の位置決め機構に欠かせない機械要素部品が直動部品である）無給油ブッシュは、直動機構部品としても使われる滑り摩擦を利用した案内部品である。以下に、無給油ブッシュとその他の機構部品との違いについて説明する。

表1.各種直動機構部品の違い

品名	外観	特徴	動作方法・組み立て
無給油ブッシュ		100μmオーダーの直進性能があり、注油が不要で、取り扱いは比較的簡単である。ブッシュ単体でモーメント荷重の支持ができないため注意が必要である。剛性が高く、シンプルな構造であり低コストでの利用が可能である。	滑り動作で直線運動と回転運動の両方を実現している。2本の案内を使用する場合、案内同士の平行を出す必要がある。通常、ハウジングに圧入し、目的の部品に取り付けて使用する。
リニアガイド		10μmオーダーの直進性能があり、剛性は高く取り扱いはしやすいが、高価な商品である。モーメント荷重の支持が可能。	転がり動作で直線運動を実現している。2本の案内を使用する場合、案内の平行出しが必要である。動きを確認しながら、両部品のねじを締め付け、案内と移動ブロックを固定して利用する。
ボールスプライン		10μmオーダーの直進性能がある。モーメント荷重の支持が可能。中度な剛性があり、取り扱いはしやすいが高価である。	転がり動作で1本のスプライン軸にて直線運動を実現している。穴のインローによるはめあいとキーによる回転方向の拘束をし、移動台に組み立てて使用する。
ロータリーボール スプライン		10μmオーダーの直進性能がある。モーメント荷重の支持が可能。中程度の剛性があり使いやすいが、高価である。	転がり動作で1本のスプライン軸にて直線運動と回転運動を実現できる。穴のインローによるはめあいとキーによる回転方向の拘束をして、移動台に組み立てる。
リニアブッシュ		100μmオーダーの直進性能がある。単体でモーメント荷重の支持ができないので注意が必要である。取り扱いはしやすいが、剛性は低く、低価格である。	転がり動作で直線運動を実現している。2本軸を使用する場合には、2本の軸の平行精度が必須である。穴のインローによるはめあいで、目的の部品に固定する。
クロスローラ ガイド		数μmオーダーの直進性能を得ることができる。リテーナが移動するためストロークの制約を受ける。モーメント荷重の支持は可能。価格は高価であるが、剛性は高く性能は高い。	転がり動作で直線運動を実現している。取付けは案内固定ベースの直線精度と2本ガイドの平行精度出しの熟練技能が必要である。

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