金属エッチング
- (4)ケミカルミーリングの応用 1)航空機の胴体外板 【図1】に示した航空機の胴体外板は、引っ張り成形法によって曲面に成形された後、ケミカルミーリングによってエッチングされます。 片側の表面積の約80%を占めるウェブの部分はケミカルミーリングによって、厚さ6.25mmから0.625mmまで除去され、重量を24kgから6kgに減少させます。以前はこのような部品を一体としてつくる方法がなく、成形された厚さ0.625mmの板の上に補強材を溶接やリベットによってスチフナをつくる方法が用いられていました。ケミカルミーリングによって部品の数を減らし、組立て時間を省き制作費を大幅に減少させることができました。タグ:
- (3)けがき-剥離法によるマスキング けがき-剥離法では、材料上のマスキングを手で剥離するという操作があるので、この処理を容易にするために、他のマスキング方法とは異なる特性が求められます。他のマスキングには、エッチング液に対する耐食性、塗布性、保存性、付着力などが求められますが、この方法では、 (1)可とう性(flexiblity) (2)材料面に対する付着性 は適当な中間値をもっていることが求められます。この様子を【図1】に示しました。タグ:
- (2)エッチングの加工形態による分類 ケミカルミーリングにおけるエッチングは、主として浸漬法が用いられますが、小さい加工物については、スプレー法も用いられます。スプレー法は、大型製品には設備的に制約があることや、加工の均一性を得ることが困難であるからです。エッチング液は、化学打抜きと同様なもの(前述)が使用されます。 ケミカルミーリングにおける加工形態を【図1】に示しますが、次のように分類できます。 (a)全面加工、(b)部分加工、(c)段付き加工、(d)テーパー加工です。点線は加工前、実線が加工後の断面を表しています。 全面加工は、全体の寸法を一様に減少する場合、または全体の重量を減少させる場合のエッチングに相当し、鍛造品や鋳造品によく適用されます。この場合にはマスキングは不要ですから、作業は簡単です。タグ:
- ケミカルミーリングは、化学研削(chemical contour machining)ともいわれ、化学エッチングを利用して、機械的研削と同じように、金属を研削成形しようとする方法です。この場合、貫通エッチングと異なり、エッチングの深さを材料厚さの一部分に止め、全体として3次元の形状を作りだすことが特徴です。 ケミカルミーリングの工程は、一般的には、【図1】のように行われています。工程は前処理、マスキング、エッチング、後処理の4工程からなります。 材料の全面をエッチングにより研削する場合には、マスキングの操作は不要で、直ちにエッチング工程に入りますが、段付け加工では、最初のエッチングの後、さらに別の部分のマスキング材を剥離して再びエッチングします。必要に応じて、これを繰り返します。タグ:
- フォトフォーミングにおける問題点は、めっき膜分離用の形成処理と、めっき厚さの管理であります。 分離用皮膜処理としては、酸化物皮膜、クロム酸塩皮膜、硫化物皮膜などが用いられますが、【表1】に幾つかの処理条件の例を示します。タグ:
- フォトフォーミングは、前述のフォトエッチングにおけるフォトレジストのパターン形成技法と、電鋳法(エレクトロフォーミングelectroforming)あるいは化学めっき(chemical plating)を組み合わせたものです。 この方法は、化学エッチングを利用する技術ではありませんが、レジストのパターン形成方法は全く同じものであり、フォトエッチングと同じような分野に適用されていますので紹介します。 フォトフォーミングは、フォトエッチングパターンの存在しない部分(レジストの存在しない金属の露出部分)に、電気めっきまたは化学めっきによって金属を付着させ、それをある程度厚くしてから剥離して製品とする方法です。 フォトエッチングとフォトフォーミングの過程を比較して【図1】に示しました。タグ:
- フォトエッチングとは、感光性耐薬品皮膜(フォトレジスト)をマスキング剤として用いて行う化学的加工法で、フォトエッチング(photo-etching)またはフォトエングレービング(photo-engraving)といっております。 フォトエッチングは、加工物の全表面にフォトレジストの皮膜を形成し、別に作製した原版を通してフォトレジストを露光し、感光部分を現像液に不溶にし、未感光部分を現像液によって除去して、フォトレジストの所要のパターンを得る方法です。(感光部分の特性が反対になるレジストもあります。) この方法は、化学的打抜きにも使われますが、化学的切削にも使われます。いずれの工程でも、前処理、後処理は共通です。一般的なフォトエッチングの工程を【図1】に示します。タグ:
- 化学打抜き処理後の後処理としては、残留マスキング剤の除去、防錆処理、仕上げ検査などが含まれます。 エッチング打ち抜きによって加工された部品は、エッチングが完了した後に材料表面に残ったマスキング剤をそのままの状態で使用することは、ほとんどありません。したがって、残留マスキング剤は、なんらかの方法によって除去する必要があります。 マスキング剤には、いろいろなものがありますが、ほとんどのマスキング剤には、専用の剥離剤が指定されていますので、それらを使用するか、トリクレン、キシレン、ベンゼンなどの有機溶剤の中に浸漬して剥離します。 また、マスキング剤は、一般にアルカリに弱く、とくにフォトレジスト(光を当てて所望のパターンをつくる際に用いるマスキング剤)は、この性質が著しいので、この場合には、加熱した10〜30%のか性ソーダ溶液に浸漬して剥離します。ただこの方法は、材料がアルミニウムのようにアルカリに溶解されるものは、使用することはできません。タグ:
- 化学打抜きに用いられるエッチング液(腐食液)は、金属材料や要求される加工速度などによって種々の組成と温度が用いられています。主な材料に対するエッチング液の組成とその条件の一例を【表1】に示しました。
- 化学打抜きは、主として薄板または箔に、機械的に打抜きプレスで生産されるような部品に対して適用されます。機械的プレス加工では、振動、バックラッシ、加工物の歪などにより、生産する部品が小型化するほど加工が困難になります。このような場合に、化学的打抜きが有利な解決法になります。 (1)作業工程 化学打抜きの工程は、次の4工程になります。 a)前処理 加工材料の清浄化—脱脂、酸洗、研磨など処理をして金属表面を清浄化します。 b)マスキング エッチングされずに保護される部分を耐薬品性皮膜で被覆します。特に精密を要する場合には、感光性耐薬品皮膜(フォトレジスト)を使用します。 c)貫通エッチング 貫通エッチングであるから、材料の両面から同時にエッチングする場合が一般的です。 d)後処理 レジストの剥離、エッチング液の洗浄・除去。レジストが水に不溶の場合には、有機溶剤などを使用します。タグ:
- 化学エッチングを応用する加工技術は、化学加工(chemical machining)と総称されていますが、加工内容は、化学的溶解作用を材料の部分に集中、制限することによって、所要の形状及び寸法を得る加工方法であるといえます。 化学エッチングは、次の2つに大別できます。