化学エッチングを応用する加工技術は、化学加工(chemical machining)と総称されていますが、加工内容は、化学的溶解作用を材料の部分に集中、制限することによって、所要の形状及び寸法を得る加工方法であるといえます。
化学エッチングは、次の2つに大別できます。
(1) | 化学打抜き(chemical blanking) 材料を貫通してエッチングすることにより、薄板状または箔状の材料から種々の形状の部品を切り抜き、または打ち抜きする加工をいいます。 |
(2) | 化学切削(chemical milling) エッチングの深さを、材料の厚さ以内にとどめ、比較的厚い材料を部分的または全体的に除去して、所要の3次元形状を得る加工をいいます。 |
この2つの方法は、エッチングが、貫通エッチングであるか否かによる相違があるだけであり、非加工部分をレジスト(保護膜)によって保護する方法や、エッチングの方法などにおいては、両者とも同様な方法が採用されています。 このような分類によれば、薄板から精密機械や電子機器部品を製作する方法は、化学打ち抜きに相当し、印刷製版やネームプレート、マーキングにおけるエッチングは、化学切削に相当することになります。 プリント配線基板や集積回路におけるエッチングでは、エッチングの対象となる銅材料は貫通エッチングされますから、これは化学打ち抜きになりますが、プラスチックの基板はそのまま残るので、銅材料の完全な化学打ち抜きとはいえません。 しかし、これら2つの加工方法は、エッチング作用を材料表面の所要の部分に集中・制御するためには、何らかの手段によって非加工部分をレジストで被覆し、エッチング作用から保護する方法がとられています。 従って、これらの加工方法においては、他の多くの加工法におけるような工具、または工具に相当するものは使用しません。各種の機械加工、放電加工、電解加工、超音波加工などでは、工具または工具に相当する電極があり、これと加工材料との間に相対運動を行わせることによって、加工を行っています。 化学打ち抜きと化学切削は、上記のように、エッチングが貫通エッチングであるか否かの違いだけでありますが、この違いによって、加工特性が異なりますので、応用分野も著しく異なることになります。 |