射出成形:基礎知識
- POM樹脂(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)は、破壊強さ等の機械的特性や耐磨耗特性などが優れたエンジニアリングプラスチックです。 POMには、単独重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)があります。 ホモポリマーとコポリマーでは、強度、耐熱性、成形条件などに差があります。 POM樹脂の最大の特長の一つとして、自己潤滑性があります。歯車や軸受けなど、常時、摩擦を受ける部品においては、重宝される機能です。 結晶化度も高いので、強度や耐熱性も良好な特性を示しています。 射出成形では、シリンダー内に長時間滞留させてしまうと熱分解を起こしますので、注意が必要です。 主要な用途は、次のようなものがあります。タグ:
- PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート)は、耐熱性が良好で、機械強度の高いバランスのとれた樹脂です。 結晶性であり、有機溶剤や油類にも耐える特徴を有しています。 電気抵抗や誘電率も変化しにくく、電気電子用途にも多用されています。 ただし、加水分解を起こすために、高温の湯中での連続使用では注意が必要です。 ガラス繊維の強化によって、強度は改善されます。 主な用途は次のとおりです。タグ:
- ポリアミドは、ナイロン(商標名)として著名ですが、PA6、PA66、PA46、芳香族ポリアミドなどの種類があります。 特徴としては、摩擦磨耗特性が優れているので、騒音が発生しにくく、安定した摺動が得られます。 また有機溶剤や油に対する性能も優れています。 一方、吸水性や吸湿性が大きいので、成形品の寸法変化が見られます。 ガラス繊維による強化で、耐熱性や強度が改善されます。 主要な使用例は、下記のような事例があります。タグ:
- 断熱板は、射出成形金型の温度を安定化させたり、保温のための省エネルギーを実現するために重要な部品です。エンプラやスーパーエンプラの射出成形では必須の部品として利用されております。 ミスミでは、断熱板を商品ラインナップとして取り扱っておりますが、その用途によって選定をして頂いております。 断熱板の使用方法は、一般にタグ:
- 射出成形加工を行っている時に、成形機を一次停止したままにしておくと、射出シリンダーの中の溶融プラスチックが熱分解を起こすことがあります。 熱分解が発生すると、下記の現象が発生します。
- プラスチック射出成形金型は、量産の成形加工で使用されますと、摩耗や錆び等の原因によって金型の機能が低下してゆきます。これらの機能低下を修復するためには、メンテナンス(保守管理)が必要です。 プラスチック射出成形金型のメンテナンスの重要ポイントとしては、下記のような箇所に留意することが推奨されます。
- インサート成形法は、インサート(金属部品等の挿入物のこと)を金型が開いている間にキャビティに装着し、その後金型を閉じて射出成形する方法です。 真鍮製のねじやシャフトをインサート成形したハウジングや、金属端子や接点をインサート成形した電子部品などの射出成形に使用されています。 インサートは、ばらばらの個別部品として機械加工しておいたものを、手作業やロボットによってキャビティに装着する方法が最も単純な方法です。(【図1】) 大量の部品を効率的に生産するためには、金属フープにプレス順送金型であらかじめ形状加工をしておいたものを、キャビティ内に自動送りをして、連続成形する方法も考案されています。(【図2】)タグ:
- ブロー成形法は、ジュース等のペットボトル容器(ペットは、PETポリエチレンテレフタレート樹脂のこと)などの中空成形品を射出成形する方法です。 シャンプーの容器、しょうゆ等調味料の容器、洗剤容器などの生産に世界中で多用されています。 ブロー成形が可能なプラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリカーボネートなどが挙げられます。 ブロー成形は、専用のブロー成形機を使用します。また、金型は、雌型キャビティのみで、雄型のコアはありません。 その代わりに、空気を吹き込むノズルが準備されていて、パリソンと呼ばれる予備成形された風船状の成形品を膨らませて、キャビティに密着させて、形状を転写させます。 ブロー成形の場合は、一般に比較的柔らかい金属がキャビティに使用されます。アルミニウム合金、青銅などが使用されますが、特殊鋼も使用されます。 成形品の表面は、美しい光沢が求められることが多いため、キャビティ内面の磨きは十分に行わなければなりません。 また、飲料用容器のブロー成形では、多数個取りが一般的であり、ハイサイクルが要求されるために、金型の冷却・温度調節機能にも工夫が必要になります。タグ:
- 今回から特殊なプラスチック射出成形法について、紹介を行いたいと思います。 まず初回は、二色射出成形法です。 二色射出成形法は、最近では「二材質射出成形法」とか「異材質射出成形法」などと呼ばれる場合もある成形方法です。2種類の熱可塑性プラスチック材料を、それぞれ別々の射出シリンダーから金型内部に順次、射出充填して、2種類の色彩の成形品を生産することができる方法です。 高級デスクトップパソコンのキートップや、カーナビゲーションユニットの照光ボタンなどに多用されている成形技術です。 一般には、成形材料は、PS樹脂やABS樹脂などの同じ種類のプラスチックが使用される例が多いようです。成形品どうしの密着性が良好な理由からです。ABS樹脂とPOMのように異なる種類のプラスチック同士でも成形品は作れますが、密着性は必ずしも良好ではありません。(密着性が良い場合と悪い場合でそれぞれの用途はあります) さらに、熱可塑性プラスチックと熱可塑性エラストマー(ゴム状のプラスチック)の組み合わせなど最近ではユニークな組み合わせも実用化されています。(スポーツ用品など)タグ:
- 射出成形加工の生産能率を評価する指標の一つとして、「成形サイクル」が挙げられます。 成形サイクルとは、1回の射出成形加工が開始してから終了するまでの単位時間のことを指します。 具体的には、成形サイクルは、下記の構成をなしています。 成形サイクル(sec/ショット)= 型閉時間 +充填時間 +保圧時間 +冷却時間(可塑化時間を含む) +型開時間 +取り出し時間 成形サイクルが短いほど、単位時間当たりの成形品生産量を大きくすることができます。 例題 成形サイクルが現在10秒の金型があった。金型の冷却回路を工夫することにより、冷却効率が高められ、冷却時間が短くなり、結果的に成形サイクルは、9秒にすることができた。 この場合、どのようなことが考えられるか?タグ:
- プラスチック射出成形金型は、射出成形品を効率よく生産することができるかどうかが、その存在価値を決定するといってもよいでしょう。 では、射出成形品の生産効率を評価する指標としては、どのようなものが適切でしょうか? その筆頭と言える指標は、射出成形品の製造原価でしょう。短い成形サイクルで、しかも多数個取りで、成形不良もほとんど発生しない金型であれば、成形品1個当たりの製造原価は著しく低く抑えることができます。 プラスチック射出成形品の原価構成は、一般に下記のようになっています。タグ: