超硬ラジアスエンドミル(SUS)
- Question ステンレス鋼を切削加工するときのポイントは? [被削材例] SUS303、SUS304、SUS316、SUS440C、SUS420J2 Answer ステンレス鋼の特性 ステンレス鋼は熱伝導率が低く、切削時に発生する熱(800℃~1200℃程度)が工具刃先に集中します。そのため工具摩耗が急速に進展し工具寿命は短く、難削材と呼ばれています。また、ステンレス鋼は、加工硬化現象の発生も懸念されるため、切削時のトラブルが多い被削材です。
- Question ねじれ角の違うエンドミルをどのように使い分ければよいか? エンドミルのねじれ角は30°・45°・50°と種類がたくさんありますが、どのように使い分ければよいでしょうか? Answer ねじれ角の効果 エンドミルのねじれ角が大きくなると、ワークと切れ刃の接触長が長くなり、単位長さ当たりの切れ刃にかかる負荷が減少するため、工具寿命に有利になります。反面、切削抵抗は大きくなるため、保持剛性の高いホルダの適用など配慮が必要です。
- Question ポケット加工時の粗加工、中仕上げ加工を高速化したい ポケット加工は削り出し量が多いため、粗加工・中仕上げ加工時間の短縮を図ることが、不可欠になります。そのためには、どのような加工方法を採用し、どのような工具を使用すればよいのでしょうか? Answer ラジアスエンドミルによる高速ミーリング 粗加工・中仕上げ加工を高速化するために下記の方法では解決に繋がりません。
- [2023/2/16公開] Question 側面切削で加工面精度を改善するには? エンドミルで側面切削を行う際に、加工面粗度が粗かったり、直角が出ないなどで所定の加工面精度に仕上げるのが難しいのですが、どのような工具を選定しどのような方法で加工すれば良いのですか? Answer 加工精度が得られない原因 高剛性な超硬エンドミルであっても、切れ刃長さ、および首下長さ寸法が過度な場合は、切れ刃部の逃げやビビリが発生し、加工精度と工具寿命が低下します。切れ刃部の逃げとは、被削材を加工中に工具先端側がたわむ現象で、加工面は弓状となってしまいます。 別の原因としては、工具の保持剛性と振れ精度が低い場合や、切削条件が最適化されていないなどが考えられます。 ビビリ抑制の詳細は技術情報「エンドミルのビビリを抑制するポイント」をご参照ください。
- Question ラジアスエンドミルによる倣い加工のメリットは? 三次元形状の倣い加工に、ボールエンドミルではなくラジアスエンドミルを使用するという話を最近よく聞きます。ラジアスエンドミルを使うと具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。 Answer 切削条件の良化 ボールエンドミルの刃径は刃先Rの2倍ですが、ラジアスエンドミルの刃径は刃先Rの寸法に関係なく大きくすることが可能です。刃径が大きいと以下の点で切削条件が良化します。 刃径が大きいと工具剛性が高く、特に小径の場合たおれを小さく抑えることができ、安定した切削が可能です。また、実切削径が大きくなり速い切削速度で加工することが可能なため、加工面精度の向上や工具寿命の向上が見込めます。
- Question 小径のエンドミルがすぐ折損してしまい困っている 微細形状加工に小径のエンドミルを使用していますが、チッピングや折損が起こりやすく困っています。どのように対策をすればよいでしょうか? Answer 振れ精度 小径のエンドミルは剛性が低いため折損しやすい工具ですが、その原因の第一は、工具自体の振れや保持具により発生した振れの影響によるものです。 折損を防止するには、振れ精度の管理を徹底することが必要ですが、焼ばめホルダのように保持精度が高い保持具を使用することが有効です。 切削速度を上げて切削特性を高める 一般的にエンドミル刃先の切削特性は、十分な切削速度がなければ発揮されません。小径のエンドミルは、回転速度を上げても切削速度がそれほど上がらず、特にボールエンドミルの場合、実切削部の工具径がかなり小さくなるため、刃先の切削特性が十分に発揮されない状態で使用されていることが多くあります。小径のエンドミルを使用する場合は、実切削速度を意識した対応が必要です。
- Question 突き出しが大きな場合の切削条件は? カタログに記載されている切削条件表はどの位の突き出しで使用することが前提になっているのでしょうか? また、突き出しを長くする場合には切削条件をどのように変更すればよいでしょうか? Answer 標準突き出し量 カタログに記載されている切削条件は、工具径の3倍程度(最高でも5倍程度)までの突き出し量を前提で適用することをお勧めします。(ロングシャンクなど突き出しを長く使用することを前提とした商品は除きます) 工具の剛性を保つためには突き出しをできるだけ短くして使用することが重要です。 突き出しが長い場合の切削条件 干渉防止などで突き出しを長くしなければならない場合にはビビリが発生しやすくなるため、フレを最小限に抑え、保持剛性の高い焼ばめホルダが有効です。 その上で標準切削条件に対して軸方向切り込み量を10~50%ほど少なくしてください。 それでもビビリが止まらない場合には回転数と送り速度を突き出し量に応じて10~40%ほど少なくしてください。
- Question 5軸制御のマシニングセンタを有効活用する為の工具選定方法と使用する上でのポイントを教えてください。 Answer 5軸制御マシニングセンタのメリット・デメリット 5軸制御マシニングセンタでは、3軸の加工では難しい形状、段取り替えを必要とする加工などを、高効率、かつ同一の段取りで切削加工が可能になります。その結果、工程の簡素化、治工具の省略、高精度化などの効果が期待できます。反面、NCプログラミングが複雑になったり、加工形状によっては工具の突き出しが大きくなるなどのデメリットが考えられ、これらの対応が必要になります。
- Question 浅切り込み、高送りを前提とした高速ミーリングのメリットを最大限発揮させるためにどのようなエンドミルを選定すればよいか教えてください。 Answer 短刃長・高精度エンドミルの使用 高速ミーリングでは、工具を高速回転で用いるので、できる限り短い刃長・R精度や振れ精度が高水準の工具をご使用ください。 焼ばめホルダと専用エンドミルの使用 高速ミーリングでは、保持剛性に優れている焼ばめホルダの使用が増えております。 焼ばめホルダ用エンドミルを使用し、工具・保持具の両面で最も適した製品を選定することが有効です。
- Question コーナースミ部のRをきれいに仕上げたい ポケットのコーナースミ部に微小Rを付けた加工を行う際に、工具がビビッてしまいます。コーナースミ部のRをきれいに仕上げるにはどうしたらいいでしょうか? Answer 刃径サイズの選定がポイントになります コーナースミ部のRを加工する際には、同サイズのスクエアエンドミルを使用すると、切れ刃の接触長が増大し、ビビリ等が発生するため、Rサイズの70~80%の刃径のスクエアエンドミルを選定することをお勧めします。 (例)コーナースミ部をR1に仕上げたい場合 スミRと同じ2φの刃径サイズの場合 切れ刃の接触長が増大し、ビビリ等が発生するため、仕上げ面粗度、工具寿命に悪影響を及ぼす。
- Question エンドミル加工でのアップカットとダウンカットの違いはなんですか? また、どのように使い分けるのですか? Answer アップカットとは エンドミルの回転方向とテーブルの送り方向が、ほぼ相対して切り進む加工方向のことです。 切削量は最小から最大に切り進むので、刃が被削材に喰い込むまで滑る傾向です。 なので、擦り摩耗の進行が早く、加工硬化するステンレス鋼などはより顕著になります。 仕上面は良好で、テーブル送りのバックラッシュは影響しません。