切削加工:基礎知識(エンドミル溝加工)
- [2024/2/2公開] Question ボールエンドミルの先端だけが早く摩耗してしまいます ボールエンドミルで加工していますが、ボールの先端だけが早く摩耗してしまいます。なにか改善する方法はありますか? Answer 改善する手段としてボールエンドミルの中心刃付近の切削を避けるため軸を被削材に対して傾けることや、回転速度を実切削径で設定することが考えられます。また、ラジアスエンドミルを適用することも有効です。 ボールエンドミルの先端だけが摩耗する要因として、回転軸付近での切削速度が遅いことが考えられます。先端中心では切削速度はほぼ0m/minなので、送り速度で擦っている状態になります。 (1)ボールエンドミルを傾けて加工する 5軸制御MCでは、被削材に対して回転軸を傾けることで、先端摩耗を軽減することができます。ロングネックボールなどは横方向の力に弱いため、極端な傾けを避け、被削材に対してピックフィード方向へ10~15°程度を目安にします。その場合の回転速度は傾けた刃先が被削材に触れる最外径での実切削径を元に算出します。
- [2024/2/2公開] Question サイドカッターとメタルソーの違いを教えて サイドカッターとメタルソーの違いがわかりません。違いを教えてもらえますか? Answer サイドカッターは主に溝形状に、メタルソーはスリット溝または切断に用い、切削できる刃の範囲が異なります。以下にそれぞれの刃の範囲を記載していますのでご参照ください。 ボアタイプ サイドカッター(側フライス、がわフライス):外周面と両側面に切れ刃をもつカッター 千鳥刃サイドカッター:外周面と側面切れ刃は交互にあるサイドカッター
- [2024/1/18公開] Question エンドミルで穴のくり広げ加工をするときの切削条件がわかりません 多刃のスクエアエンドミルで、穴のくり広げ加工を行う準備をしています。コンタリング加工で行うつもりですが、切削条件を教えてもらえますか? Answer コンタリング加工などの円弧加工を行う場合は、エンドミルの中心軸経路と外周経路の比で送り速度を下げる必要があります。 コンタリング加工などの円弧加工では回転速度と切込み量は側面加工の条件と同じですが、送り速度は補正が必要です。直線加工では送り速度とエンドミル外周における送り速度は一致しますが、円弧加工では外周における送り速度はエンドミルの中心軸経路と外周経路の比で設定値より速くなります。エンドミル外周における送り速度を適正にするには、中心軸経路と外周経路の比で送り速度を下げるように調整します。 ●中心軸経路と外周経路の比=(R-r)/R R:加工半径 r:エンドミル半径
- [2024/1/18公開] Question あり溝加工をするときの注意点を教えて あり溝カッターで、あり溝加工を行おうとしましたが、カッターが折れてしまいました。加工条件は切削条件表どおりなのですが、その他の注意点を教えてもらえますか? Answer Tスロットカッターやあり溝カッターは、刃径に対してネックが細いので過負荷にならないように注意が必要です。加工条件はもちろんなのですが、前加工と切りくずの処理にも注意が必要です。 Tスロットカッターやあり溝カッターは底刃が無いので、下方向に送る加工はできません。
- [2023/11/28公開] Question TスロットカッターのT溝加工条件を教えて TスロットカッターでT溝加工を行おうとしていますが、切削条件表には切込み量が小さい側面切削条件しか載っていません。T溝加工の切削条件を教えてもらえますか。 Answer 実際に加工するときの切込み量とTスロットカッターの側面切削条件の切込み量の比で、送りを落として加工します。
- Question V溝カッターでの加工で、刃が欠けて困っている V溝カッターで加工をするとき、回転数を下げて加工してもすぐに先端が欠けて困っています。 Answer V溝カッターでは、実切削径で回転数を決定するのがポイントです 工具径で回転数を決定すると適正な切削速度より遅くなり、工具に無理な力がかかります。 実切削径で回転数を決定することで、そのような状態を回避します。 図1 V溝カッターの実切削径と回転数のポイントと計算方法
- [2022/10/27更新] Question V溝加工用エンドミルの正しい利用方法が知りたい 部品加工でV溝加工用エンドミルをよく利用しますが、刃先のチッピングが頻発して困っています。工具使用上のコツを教えてください。 Answer V溝加工に際しては、下記の点がポイントとなります。 利用方法 (1)通常のスクエアエンドミルを利用する場合 工具またはワークを傾けることでV溝を切削する方法です。もしV溝底部の形状に高い精度が求められないのであれば、ラジアスやコーナーC付きのエンドミルでの加工も選択肢となります。 (2)V溝加工用エンドミルを利用する場合