(6)電解研削面の仕上げ面粗さ
電解研削において生じる仕上げ面粗さの生成機構を【図1】に示します。図は電極砥石と研削面の関係を示しておりますが、この図で電解研削が行われている部分は砥石の外周と加工面が接触するbの部分であります。
しかし砥石と加工物が電解液で満たされている部分はbの部分だけではなく、ノズルから供給された電解液がbの範囲に入る過程でcの部分にも溢れますし、また加工間隙を通過した電解液がaの部分にも流れます。電解エッチングは電解液に接するすべての面で起こりますから、電解エッチングはa、b、cのすべての範囲で行われます。
このうちa、cの部分は砥粒の研削作用はなく電解エッチングだけが行われます。
これら3つの部分のうち、aの部分は研削の進行に伴って除去された部分でありますから、仕上げ面の粗さには殆ど影響がありません。
bの部分も研削の進行に伴って除去される部分でありますが、この部分は電解エッチングとともに機械的な研削が行われるところであり、研削面となって残るところでありますから、仕上げ面粗さに影響を及ぼします。
cの部分は砥石の接点から離れるにしたがって極間距離が大きくなり、電解エッチング作用は減少しますが、最終的にはこの部分がそのまま仕上げ面になりますから、仕上げ面粗さに直接的な影響をおよぼします。
これら3つの部分の面粗さを比較すると、最も粗さが大きいのはaの部分であり、粗さが最も小さいのはbの部分であります。cの部分の粗さはbの部分より大きく、最終の仕上げ面粗さはこの部分の粗さに等しくなります。
cの部分がbの部分より面粗さが大きくなるのは、迷走電流の作用によるものと考えられます。
したがって、電解研削においては、bの部分以降に電解エッチングが生じなければ最もよい仕上げ面が得られますが、実際的にはこのcの部分の電解エッチングをゼロにすることはできないので、この部分の電解エッチングの影響をできるだけ小さくしなければならなりません。
この方法としては、印加電圧を高くしてテーブルの送り速度を大きくし、加工物の表面がcの部分に存在する時間を、できるだけ小さくすることが一般に行われています。