(1)電解研削の原理
電解加工は、金属表面の所要部分から材料を除去するのに、電解エッチング作用を利用したものでありますが、電解研削は、この電解エッチング作用にさらに、機械的な研削作用を加えたものです。
一般に金属表面から金属を電気化学的に溶出させる場合には、溶出の進行を妨害する陽極生成物が生じ、場合によっては金属表面が不動態となって溶出が全く進行しなくなります。電解加工では、この現象を防止するために、電解液として不動態を生じないような液を用いますが、電解研削ではこの不動態皮膜を砥石の砥粒によって引っかきながら、その後に出来る新鮮な金属面へ電解エッチングを作用させるようにします。
電解研削は、はじめは電解工具研削盤として発展しましたが、この方法が研削熱、研削圧力が小さいことを利用して、広く一般の難研削材に応用されるようになりました。
(2)電極砥石
電解研削で除去される材料の量は、機械的研削と電解溶出による量に分けられますが、機械的研削量はごく僅かで、炭素鋼などで1~2%、超硬などで10~16%で、大部分は電解溶出によるといわれております。電極となる砥石の断面を【図1】に示しました。
砥石は、絶縁性の砥粒と導電性の結合材(主として金属)で構成されており、絶縁性砥粒は導電性結合材の面の上に、適当な量だけ(通常0.02~0.05mm)突出し、それによって加工物の表面から不溶性の陽極生成物を削り落とし、電導性結合材の面で起きる電解溶出作用に対して、常に新鮮な金属面を連続的に露出させます。同時に加工間隙を決定づけます。
(3)電解研削装置
電解研削装置の一例を【図2】に示しました。電流は、直流電源のプラス極→加工テーブル→加工物→電解液(加工間隙)→電極砥石→プラシ→マイナス極の順に流れます。電解液は砥石の正面に吹きかけられますが、砥石の回転による遠心力によって加工間隙へ供給されます。