(1)概要
電解エッチングは、化学エッチングが材料の溶解を化学的に行うのに対して、直流電力を供給して材料を陽極として電気化学的に溶解を行うものです。
電解エッチングを応用する技術としては、電解加工、電解研削、電解ホーニング、電解ラッピングなどがありますが、これらの技術はすべて、あらかじめ所要の形状に成形した陰極を用いて、加工される材料を陽極として、両者を極めて近い位置において電気化学的溶解を行わせることによって電解エッチング作用を所要の部分に集中し、制限する方法がとられています。
電解加工と化学加工は、両方とも、エッチング作用を金属材料のある部分に集中・制御することによって行われますが、集中・制御の方法としては、電解加工のほうが化学加工より多くの方法を用いることができます。
化学加工では、金属材料の非加工部分をマスキングで被覆してエッチング作用から保護する方法が集中・制御の唯一の方法でありますが、電解加工においては、これと全く同じ方法も採用できますが、多くは、あらかじめ所要の形状につくった電極を陰極として用いて通電することにより効率よく、所望の製品を得ることができます。
1)電解加工
電解加工(electrolytic machining)は、電気化学加工(electrochemical machining)ともいわれ、不動態化皮膜を発生しないような電解液を用い、電解エッチング作用だけを利用して複雑形状の加工を行う方法で、従来からの機械加工や放電加工に代わるものとして独自の分野をもっています。
2)電解研削
電解研削は、機械研削と電解エッチングを併用する方法です。すなわち、導電性のボンドで砥粒を結合した砥石を用いて研削し、電解溶出において生じた不動態化皮膜を砥粒で掻き落としながら、それによって生じた新鮮な金属面と導電性ボンド面との間で電解溶出を行わせるものです。機械研削に比べて加工能率の増大、砥石消耗、研削熱、研削抵抗の減少などの利点をもっています。
3)電解ホーニング、電解ラッピング
電解ホーニング、電解ラッピングは、電解研削とまったく同じ原理で、両者は、機械的ホーニングおよび機械的ラッピングに電解エッチングを併用した方法です。その利点もまったく同じでありますが、両者とも、もともと仕上げ加工であり、その金属除去量は極めて僅かでありますから、表面エッチングの技術分野といえるかもしれません。