(3)実量制とは
高圧電力Bより大口の需要家は、従来から使用実績(最大電力)により契約電力が決められてきましたが、それより小口の需要家である高圧電力Aでも、そのような制度が徐々に採用されてきました。それが実量制です。(電力会社との契約の種類はこちら)
高圧電力A契約(契約電力51〜500KW未満)における契約電力は、昔は受変電設備の容量(KVA)に圧縮率を乗じて決定されていました。例えば、変電トランスの合計容量が350KVAであれば、これに圧縮率を乗じて(350×0.5)+45=220KWというようにして契約電力が決定され、使用の状態に関係なく、この値が基本料金の対象として持続されてきました。
ところが、変電所2次側(200V)の力率改善が進み、契約電力以上の電力が消費されるようになってきたことから、実量制が採用されるようになりました。これは、受変電設備の容量に関係なく、電力の使用状態に応じて契約電力が決まるというものです。
具体的には、【図1】に示すように、各月の契約電力は、最大需用電力計により測定したその月の最大需要電力と、過去11ヶ月の最大需用電力のうち、いずれか大きい方の値が適用されるというものです。
最大需要電力計とは、電力量計がその月の電力量の累計(KWh)であるのに対して、時々刻々と変化する電力(KW)の最大需用電力(数分間)を記録するもので、過去の最大値よりも更に大きな電力需要があれば、直ちに更新記録されます。
これに対する対策はどうでしょうか。無意識に工場を操業していると、過大な電力料金を支払うことになります。たとえばある日、大量の受注があった場合など、消費電力を考慮した生産計画を立てないといけません。そのためには日頃から、表面処理の工程別消費電力を把握することが必要です。そのために、需要電力を測定するだけでなく、監視して設定値を超えそうになると警報を発するコマンドメーターなどが用いられています。