(7)排気装置
表面処理工程には、ミスト(水素ガスなどが、酸などの溶液を同伴して発生する霧状の飛沫)やガスなどが発生する工程が多く、これらに対する安全衛生上の対策として、排気装置が使われています。
排気装置は、排気フード、排気ダクト、ガス洗浄装置、排気ファンなどで構成されています。ガス洗浄装置は、通常、排気を洗浄水で洗浄して大気に放出する湿式洗浄方式が用いられています。
排気ファンは、静圧の低いシロッコファンが多く使われていますが、この電力が無視できません。このため次のような対策がとられています。
(1)ミスト防止剤の利用
排気の目的は、発生するミストやガスを吸引除去して、作業場の作業環境を清潔にすることです。もし、ミストやガスの発生がなくなれば、排気の必要はありません。
そのための一つの方法として、めっき浴などにミスト防止剤を添加してミストの発生を防ぎます。ミストは、処理浴の表面張力が大きいために、処理液が発生するガスを包み込み、微小な気体として発生します。このとき表面張力を小さくする界面活性剤などを添加すると、ガスだけ単独で発生して飛沫の同伴を防ぐことができます。
ミスト防止剤は、処理液の汲み出しや、電解によって消耗しますが、不足分を自動補給装置で補給すれば、排気電力は不要になります。この省電力効果は絶大です。
(2)間歇運転の採用
排気装置の運転は、通常作業中は連続運転が原則ですが、ミストやガスが連続的に発生しない工程、すなわち、処理作業が10分とか15分に一回の間歇的作業(バッチ処理)の場合には、排気装置を連続運転する必要はありません。
間歇運転をすることによって、省電力が可能になるばかりでなく、排気による処理浴中の水分の蒸発を防ぎ、浴温の低下を防ぐこともできます。例えば、必要な排気時間5分として、作業時間が10分間隔とすれば、間歇運転により排気電力は、連続運転の1/2に、作業時間が15分間隔であるとすれば1/3に低減されます。(【図1】)