省資源の項で述べたように、表面処理加工は、その素地となる構造材に美観や耐食性、耐摩耗性などの別の機能を付加して省資源を実現しています。
省エネルギーも同様で、表面処理加工によって、各種の省エネルギー化が図られています。
例えば、自動車などの輸送機械では、軽量化は直ちに燃費向上という省エネルギーにつながります。
車体を構成する鉄板に高強度のものを用いて板厚を薄くするとか、軽量のアルミニウム合金を使うとかによって軽量化を実現しています。
これらはいずれも機械的な強度は高いのですが、化学的強度(耐食性)は非常に低いという欠陥をもっています。これらは化成処理や塗装などの表面処理技術によってこの欠陥を補っております。
また、空を飛ぶ航空機には更なる軽量化が求められます。機体の構造材として高強度のアルミニウム合金やチタニウム合金が用いられていますが、これらも鉄板の場合と同様に耐食性に極めて乏しいという欠陥をもっていますので、表面処理によって補完されています。
機内に収納されている機械装置においても軽量なアルミニウム、マグネシウム、チタニウムなどの合金が圧延材や鋳物材として使われ、それらには適切な表面処理が施されています。
以上、大型製品の省エネルギー化に、表面処理が果たしている役割についてお話しましたが、コンピュータ関連などの超小型微細部品についても、表面処理によって省エネルギー化が実現している例は、枚挙に暇がありません。