(4)受変電トランスの無負荷損失
受変電室にはいくつかのトランスがあり、6600ボルトの高圧電力を受電して、200Vや100Vに降圧して工場に電力を供給しています。
しかしこれらは、工場が休止している夜間でも、休日でも、高圧側の入力スイッチを切らない限り、僅かですが電力を消費しています。それが【表1】に示す、トランスの無負荷損失です。
【表1】トランスの無負荷損失(KW)
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いま、ある工場のトランス容量を、単相トランス200KVA×3台、三相トランス300KVA×1台、合計900KVAとすると、無負荷損失電力は、(0.5×3)+1.5=3.0KW/時となります。夜間時間を19時〜8時の13時間/日とすると、3×13×30=1170KWh/月となります。これに休日分(24−13)8.4×3=277KWhを加えると1447KWh/月の損失になります。
この会社の電力単価を22円/KWhとすると31,834円/月、年間約38万円の損失金額になります。これは、作業終了後トランスの入力スイッチを切るだけのことによって節約できる省電力の金額です。
(5)モータの効率・力率
表面処理工場では各種のポンプ、ろ過機、排風機、送風機、圧縮機、冷凍機などにモータが沢山使われています。
これらのモータの出力は負荷に対して適正なものは少なく、大きめのモータが使われているのが通常です。
とくに排風機などベルト掛けの大きな機械では、使用に伴ってベルトが伸びてモータの力が充分に伝わらず、軽負荷になっている場合が多く見かけられます。モータの負荷率が低下すると(出力低下)【図1】に示すように力率も効率も低下します。
効率の低下は、電力を熱にしてしまい機械に充分に力を与えることが出来ません。また、力率の低下は、仕事をしない無効電流が流れるため発熱し、ひいては受変電トランス容量の増加が求められることになります。このためこれらの機械には、負荷に見合った進相コンデンサをつけて力率改善が図られています。