重金属類は、蛍光X線分析、原子吸光光度法、ICP発光分析などの方法で容易に分析できますが、シアン(CN-)や六価クロム(Cr6+)などは別の方法が必要です。それは試料の前処理を行った後、ある指示薬を添加して発色させ、その色濃度が対象物質の濃度と比例することを利用する吸光光度法です。
(1)測定原理
吸光光度法による濃度測定の原理を【図1】に示します。この方法は比色法といわれているある色を標準色と較べる方法とよく似ています。【図1】(a)に示すように発色した試料を測定セルに入れ、光源からでた光をフィルタで、特定の波長の光(Io)にして透過させると、光の一部が 吸収されます。透過光(It)は光電地で電気信号に変換され透過率や吸光度として表示されます。
フィルタの代わりにプリズム等を用いると、広範囲に光の波長を選ぶ(分光)ことができます。ある発色した試料に対して波長を変えて吸光度をしらべると、【図1】(b)のように最大吸光波長がわかります。この波長の光を用いて濃度既知の標準溶液の吸光度を調べ、検量線図(c)を作成しておけば、未知試料の濃度を知ることができます。
(2)装置の概要
分光光度計の外観を【図2】に示します。
(3)特徴
ある製品に六価クロムがどの位含有されているかを調べるには、一定の面積を有する製品の一部を切り取って純水で六価クロムを抽出します。抽出液を適当な濃度に希釈あるいは濃縮して発色指示薬を加え、吸光度を測定して濃度を算出します。