WEEEやRoHS規制をクリアーするためには、製品中の有害物質含有量を分析しなければなりません。簡易分析に活躍している蛍光X線分析法、公定分析の原子吸光光度法、ICP発光分光分析などの機器分析法についてご紹介しましょう。先ず、蛍光X線分析からはじめましょう。
(1)測定原理
物質を構成する原子は、それぞれ固有の殻電子準位をもっています。この原子にX線、γ線、電子線などを照射しますと、その原子特有の性質をもつX線(特性X線)が発生します。このX線を蛍光X線といい、そのエネルギー(波長)は、原子の内殻電子準位差すなわち原子固有の殻間遷移エネルギーに等しいことが分かっています。
この蛍光X線を用いて、物質中に存在する原子の種類と量を解析する方法を蛍光X線分析法といいます。原子の種類を特定する定性分析と、含有量を調べる定量分析が行われています。
(2)特徴
(1)定性分析
化合物、混合物、試薬に付着または混入した不純物元素の同定や、希土類など通常の分析手法では困難な元素の分析が容易にできます。
(2)定量分析
構成元素の重量比やモル比が求められるほか、めっきなど薄膜の厚さ、微量物質の重量が測定できます。
(3)標準試料不用
従来から本法では標準試料が必要でありましたが、ファンダメンタル・パラメーター法(FP法)の採用によって、標準試料がなくても分析できるようになりました。これはパソコンの情報処理能力の向上や低廉化により、原子固有のエネルギーデーターベースやPF法プログラムの組込みが容易になったからです。したがって、試料の組成情報が分かれば、蛍光X線の発生原理に基づく理論式によって、測定条件とFP(物理定数または基礎的定数)を用いた理論式でX線強度を計算でき、元素の特定や量が分析できます。
(4)現物のままで分析できます。
通常の分析では、試料を酸に溶解したりする分析前の前処理が必要ですが、蛍光X線分析法はこれらの前処理を必要とせず、固体のままで直接分析することが可能です。