【図1】(a)に示すように、曲げ加工ではスプリングバックによって角度が変動します。その対策として、曲げ部に外力を与えて、曲げ部の内部ひずみを相殺して角度の変動を押さえるようにします。曲げ部への外力の与え方としてよく使われるのが、【図1】(b)に示す曲げ内Rのセッティングです。
この方法は図のようなU曲げでは何の問題もなく有効ですが、【図2】に示すようなL曲げ形状となると問題があります。L曲げ加工は押さえ曲げです。ダイとストリッパの間で、材料を押さえた状態で曲げます。
曲げ部の押さえ力は【図3】(a)に示すウエッブ部分の押さえ面積の大きさから判断して、ストリッパのスプリングの強さを決めます。その押さえ力は曲げ加工力の1/3程度が目安となります。L曲げ加工ではウエッブ部分に加工時に、跳ね上がろうとする力とパンチ方向の引かれる力が発生します。その押さえ込みが弱いと、曲げ寸法が変動します。
【図3】(b)は、内Rセッティングを用いたときの曲げ状態を示しています。このときの押さえ面積は、圧縮の凸幅Sと曲げ線長さの積となります。押さえ面積としては足りません。寸法変動を起こします。加工の過程に注意しなかったときに起こしやすいミスです。