Q
据え込み加工とはどのような加工か。
A
据え込みとは、機械用語辞典によると、材料を長さ方向に圧縮してその長さの一部または全部の断面を大きくする作業とか、材料に加えた加圧軸に直角の方向に材料がつぶされて動き、断面積を広げる加工との解説があります。【図1】に示すような加工が据え込み加工のイメージです。
【図1】(a)が基本で長さ方向に圧縮して長さを縮め、面積を大きくします。
【図1】(b)は部分的な潰しです。
【図1】(c)、(d)はアプセット加工(up setting)とも呼ばれています。型を使って圧縮して、材料の高さを縮め横に広げる加工です。端部をつぶす加工と中間をつぶす加工があります。端部をつぶしてボルトや釘、ピンの頭を作るのもは、頭を作ると言うことからでしょうかヘッディング(heading)または、頭部据え込み加工という特別な呼び方があります。
据え込み加工はスエージング(swaging)とも呼ばれます。
ここでやっかいなことがあります。「スエージング」でインターネット検索をすると、次のような説明が出てきます。スエージングとは、金型(工具)を高速回転させ、連続的に絞り加工を行なう加工法です。といったものです。【図2】のようなイメージの加工( これは基本的な形で多様な形状加工ができる)です。加工内容の解説からは、へら絞り加工(metal spinningまたは単にspinning)のイメージされますが、へら絞りは工具を回転させず(工具の先端を回転させることはありますが)、材料を回転させ絞りますから、据え込み加工というイメージと違います。
探すと、似た用語があります。ロータリースエージング(rotary swaging)、ロータリースエージャー(rotary swager)です。回転据え込み加工。回転据え込み機といったところでしょうか。ロータリースエージャーは、ロータリースエージングマシンと呼ばれるものと同じでしょう。この加工内容の説明は、「工具を回転させながら材料に打ち付け形状を作る」とあります。ここでの工具は回転しながら、ストロークして材料を半径方向から打っています。打たれた材料は軸方向に径を小さくしながら、伸びています。これは据え込み加工は「加圧軸に直角に加工された材料は動く」形になっています(面積は広がっていませんが)。
据え込み加工は鍛造加工の基本です。その応用変化が多様で分かりづらいところがありますが、材料への加圧と材料の動きの関係で理解するとわかりやすいです。カタカナ表現で示される加工内容はスエージングの中の特別な内容を示しているもの、及び回転工具で加工するロータリースエージングがありますが、日常、この加工をしている人は「ロータリー」を省略して表現することがあるといった内容を理解すると、据え込み加工の全体が見えてくると思います。