Q
円筒絞りでしわ押さえなしで絞りができるか。
A
円筒絞り加工の難易の目安は、絞り率と相対板厚(t/D×100)で判断されます。絞りが容易になるのは、絞り率と相対板厚の値が大きくなるとよいのです(大きくなりすぎるのも問題がありますが)。この2つが条件を満たすと、絞り金型にしわ押さえが無くとも絞れるようになります。その条件を絞り率を基準に示すと、次のようになります。
絞り率0.5→相対板厚3.5%以上
絞り率0.6→相対板厚2.0%以上
絞り率0.7→相対板厚0.7%以上
このような条件であれば、【図1】に示すような簡単な金型構造で絞り加工ができます。図は絞り落とし構造です。フランジ付きの製品ではダイにノックアウトを入れ、排出できるようにします。パンチには付着防止のキッカー等の処置も必要となります。
しわ押さえなしの金型で大切なことはダイ肩半径(ダイR)です。ブランクとダイRとの関係が【図2】に示すような関係となっていることがよい結果を生みます。この時のクリアランスは材料板厚と同じか、材料板厚の1.1倍程度とします。