フランジのある円筒絞りのブランク展開について解説します。
展開計算に先立って、トリミング代を決めます。絞り加工では、材料の持つ異方性の関係から、円形ブランクから絞ったものでもフランジの縁は変形して、四角に近い形になります。このような現象から、絞り加工では絞りが終わった後にトリミングを入れて、縁の形状を整えます。そのために、展開計算に先立ってトリミング代を決めます。トリミング代の明確な基準はありません。製品の大きさに比例します。【図1】に示す製品ですと、片側で2mm程度です。トリミング代を付けたフランジ径でブランク展開計算をします。
このような形状のブランク展開は【図2】に示した計算式を使います。この点展開計算式は表面積の計算式です。絞り前と絞った後の板厚が変化しないことを前提としています。また、フランジと絞り底のrが小さいことも条件です。
絞り加工では絞りの内容を考慮して絞り展開をしません。単純に表面積からブランク径を求めます。製品形状が複雑になると、形状を分割して要素ごとに面積計算して、その合計からブランク直径を求めることもあります。
計算をするときに、外形か内径かまたは板厚中心かが考えられます。一般的には外形を使います。ブランク径が大きく求められるからです。外形寸法で計算すれば、前もってトリミング代を考えなくても大丈夫、という考え方もありますが、安全のためトリミング代は見ておいた方がいいです。絞り終わってトリミングができない惨めさを味わいたくなければ。このようなことから、展開計算では内径寸法は使いません。板厚中心で計算することはあります。トリミング無しでもよい製品のときです。絞り径に対して高さが低く、寸法公差がゆるいような製品のときです。