材料の板厚に近い幅を残す加工では、左右を同時に抜くことが金型強度の関係から難しいので、左右を交互に抜き加工するようになります。そうすると、【図1】に示すような形状にできあがることが多くなります。
抜き加工では、板厚方向にかかる抜き力と、横に押し出そうとする側方力及び曲げモーメントが働いています。
抜き幅が広ければ、側方力は押さえ込まれ加工後の製品に影響は出てきません。細くなると耐えきれずに曲がり、図に示すような切り欠き形状では先端が開いてしまいます。
また、抜き加工時の曲げモーメントの影響は、a−a断面と示したように、断面はねじれ、形状が変形します。
このような問題の対策としては、抜き幅を板厚の2倍以上を目安に広くすることです。
細い形状が必要な場合には、【図2】(a)に示したように、細い部分の根本にできるだけ大きなRを付けることです。さらに、細い抜き部の材料押さえを強くして加工することです。材料押さえを強くすると板厚減少を起こすことがあるので注意しましょう。
(b)に示すように、細い部分の先端をつなげて加工し、その後に先端をカットする方法もあります。
このような形状の加工では、ひとつの対策だけでなく、いくつかを組み合わせると効果が高くなります。
細い形状加工では左右同時加工が無理だと説明しましたが、特殊な金型構造になりますが、加工する方法はあります。クリアランスを部分的に変えることも対策となります。
いろいろな方法を組み合わせて、このような形状の加工限界を高めて下さい。