曲げで、【図1】に示すように、バリ面が外側にあると割れが発生しやすくなります。特に曲げ線の両端に現れやすいです。イメージしやすいバリを表現に使いましたが、曲げの両端面(切り口面)の状態が悪いと材料の伸び限界が下がり、割れが発生しやすくなる。ことを言いたいのです。
曲げの内側のR(曲げ半径)が小さいと得に割れがでやすいです。そのために材料には最小曲げ半径として、加工限界値をJIS等で示しています。
切り口面をシェービングしたり研削するなどしてきれいに仕上げると、割れを減少させることができます。簡単な方法としては、バリをまげの内側にして曲げることです。
【図2】は、材料の圧延方向(ロール方向とかロール目方向と呼ぶこともある)と曲げ線の関係を示したものです。
圧延方向とは材料の繊維方向を表すようなものです。曲げ線と圧延方向が平行な曲げでは、曲げ部に割れが発生しやすくなります。スプリング等の用途に使うプレス製品では、曲げ線と圧延方向が平行な曲げはやめましょう。曲げ線と圧延方向が垂直な関係の曲げ(【図2】に①で表す方向)がもっとも強い関係になります。【図2】に②で示す関係、曲げ線と圧延方向が角度で交わる関係は、中間的な強さになります。交差角45度を基準にして、直角に近い方向の交わりとなるように心がけます。
切り口面、圧延方向と、曲げ部の割れや強度に関係する内容を説明しましたが、曲げ内側のR(曲げ半径)は、どの状態にも影響します。小さいほど曲げ部強度は弱くなります。強度的には、曲げ半径は材料板厚と同程度以上の大きさが望ましいです。