一般に、成形サイクルを構成している要素は、下記が挙げられます
1.型閉時間
金型が閉まるまでの時間です。金型の開閉時間は、射出成形機の型開きストロークと型閉速度によって左右されます。
金型は、質量がありますので、無闇に型閉速度を早くしすぎますと、金型が閉じる時に運動エネルギーにより金型が破損する可能性がありますから、ブレーキをかけることを考える必要があります。
2.充填時間
充填時間は、スプルーから流入した溶融樹脂がキャビティの中を完全に充填するまでの時間です。
充填時間は、射出成形機の射出速度(実際には、射出スクリューまたはピストンの移動速度と射出シリンダー直径によって決まる、射出体積/時間=射出率(cm3/sec))によって左右されます。
また、溶融樹脂の粘度によっても左右されます。充填時間が短いと樹脂の充填速度が速くなりすぎて、樹脂焼けやガスを発生させることがあります。一方、充填時間が長すぎると成形品の表面にフローマークやウエルドが明瞭に現れてしまうことがあります。
3.保圧時間
保圧時間は、キャビティの中を溶融樹脂が充填した後に、ゲート部が固化するまで、圧力を加えている時間です。保圧時間が長すぎると離型不良を引き起こすことがあります。
4.冷却時間
冷却時間は、保圧が完了した後に、成形品やスプルー、ランナーがある程度固化するまで冷却している時間です。
一般には、冷却時間が、成形サイクルの中で最も長い時間になる傾向があります。冷却時間を支配するのは、金型内で最も肉の厚い部分です。それは、成形品に限らず、ランナーやスプルーも当てはまります。
5.可塑化時間
可塑化時間は、次に射出する溶融樹脂を計量するための時間です。一般には、可塑化時間は、冷却時間と同時に進行し、冷却時間より短いようです。可塑化時間を短くしようとして必要以上にスクリュー回転数を上げてしまうと、樹脂の中に空気を巻き込んだり、焼けを発生してしまうこともあります。
6.型開時間
金型が開くまでの時間です。金型の開閉時間は、射出成形機の型開きストロークと型開速度によって左右されます。また、金型の開く速度は、最初はゆっくりと開き、成形品がキャビティから離型する際に傷を付けたり、離型不良が生じないように配慮をすることも必要な場合があります。
7.取り出し時間
成形品をキャビティから取り出すための時間です。突き出し時間や取り出しロボットの作動する時間が含まれます。