熱硬化性樹脂は、射出成形に使用されている熱可塑性樹脂とは異なり、加熱されると一瞬液化しますがその後硬化する特性を持った樹脂です。
熱硬化性樹脂には下記のような種類があります。
-フェノール樹脂
-ユリア樹脂
-メラミン樹脂
-不飽和ポリエステル樹脂
-エポキシ樹脂
熱硬化性樹脂の成形では、圧縮成形やトランスファー成形が一般的で、射出成形はごく一部に限られています。熱硬化性樹脂の成形では、成形材料を金型内に投入した後で金型温度を150℃程度に加温します、そうすると材料は一瞬溶けて液状になりますが、その後は加熱による化学反応で固化します。一度固化してしまうとその後は液状に戻ることはありません。つまり、冷却は不要で成形品を金型から取り出すことができます。 しかし、材料の投入量がばらつくことから成形品の周囲には余分に漏れ出した材料がばりになって付着しますので、ばりの処理が必要になります。
また、硬化する途中で材料からガスが発生しますので、これを金型を少し空けてガス排気をする工程が必要になる場合があります。
成形材料は、粉で供給される場合にはスプーンやカップで提供します。また、固形タブレットにして投入する場合もあります。粉で投入する場合には成形機は縦型である場合が多いです。
一部の熱硬化性樹脂は、常温で液状のものもあります。例えば液状シリコーン樹脂があります。このような樹脂の場合には、特殊な射出ユニットを用いて射出成形加工も可能です。
しかし、射出ユニットの温度管理が重要で、一般の熱可塑性樹脂用シリンダーで成形してしまうと温度上昇しすぎるとスクリュー、シリンダーが固化してたいへんなことになりますのでこのような試作はすべきではありません。
熱硬化性樹脂は、電気絶縁部品、半導体関係、ガスメーター、食器類などに使用されています。最近では自動車部品、二輪車部品などにも採用されています。熱可塑性樹脂とは全くことなる特性を持った樹脂ですが、用途によっては熱可塑性樹脂では対応が不可能な分野では重宝する材料です。金型の設計方法や材質、コーティング方法も独特のノウハウがあります。金型には保温回路が必要ですが、冷却回路は通常は不要です。成形収縮の考え方もちょっと異なってきます。