プラスチックは、高分子構造(多数の分子が連なっている構造を持つ物質)をしていますが、一般に高分子構造物質は電気を通しにくい性質をもっています。プラスチックのほとんどは電気を通しにくい電気絶縁物質でありますので、電気関係の遮断機(ブレーカー)やコネクターのインシュレータ等に使用されています。
しかし、プラスチックを含む高分子の中には、電気を良好に伝導する性質を持ったものが存在します。これらは、「導電性高分子」と呼ばれています。
導電性高分子の中で最も著名なものは、ポリアセチレンで、白川英樹博士がノーベル化学賞を受賞した研究対象であったことも知られています。
導電性高分子を用いれば、金属部品を用いないで高分子のみで電子回路を形成することが可能になります。そうすれば軽量で軟質の部品を開発できる可能性が高くなり、今まで実現できなかった製品に応用できるかもしれません。
導電性高分子をもちいた射出成形品の開発は、現在のところほとんど実施されていません。今後の新しい物質の開発によっては、射出成形加工や押し出し成形加工で、身の回りの重要な製品の部品を加工するように技術開発が進展するかもしれません。
主な導電性高分子を以下に示します。
・ | ポリアセチレン |
・ | ポリ−p−フェニレン |
・ | ポリ−p−フェニレンビニレン |
・ | ポリチオフェン |
・ | ポリ(3−メチルチオフェン) |
・ | ポリチエニレンビニレン |
・ | ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン) |
・ | ポリピロール |
・ | ポリアニリン |