プラスチック射出成形機は、そのほとんどがインライン方式射出成形機です。この方式は、射出シリンダーの内部に、可塑化スクリューが組み込まれており、スクリューは前進することによって樹脂を射出することが可能です。一般の射出成形加工を行うためには、コストパフォーマンスと要求品質が合致しますので、このタイプの機械が好まれています。
これに対し、プリ・プランジャー式射出成形機という方式は、可塑化スクリューと射出シリンダーが独立している方式です。この方式は、インライン方式射出成形機で使用されているチェックリングが不要なので、チェックリング部からの樹脂の逆流が生じないため、安定した射出を実現することができます。
したがいまして、計量された樹脂の密度が安定しますから、成形品の重量ばらつきを小さく抑えることができます。その結果、成形品の寸法が安定し、ばりやひけの発生も抑えることが容易になります。
保圧が安定するということは、成形品の離型抵抗も安定しますので、突き出し時の変形状態も安定させることができます。
このような特徴を有するプリ・プランジャー方式射出成形機は、以下のような成形に適していると考えられます。
[1] | 精密なコネクター、電子部品等の多数個取り金型 | |
[2] | レンズ、プリズム、導光板などの光学部品用金型 | |
[3] | 生分解性ポリ乳酸などの収縮率の高い成形品用金型 |
プリ・プランジャー方式射出成形機は、その構造が特殊なため、イニシャルコストはインライン方式射出成形機に比較すると高い傾向にあります。しかしながら、成形品の品質を重要視する場合には歩留まり等を勘案すればプリ・プランジャー方式の方がトータルコストが安いケースもあります。
上記、[1] 〜 [3] に示すようなカテゴリーについては、プリ・プランジャー方式は優位にあると考えられます。
特に、精密射出成形機においては、世界的にプリ・プランジャー方式を採用する成形機メーカーが増えてきているようです。