生分解性プラスチックは、土中や大気中のバクテリアや微生物によって、生物学的に分解されるプラスチックのことです。
従来の石油化学によって合成されるプラスチックは、微生物によって分解されることはなく、半永久的に廃棄物として残存するものと考えられてきました。ところが、最近の化学技術の発達によって、微生物によって水や二酸化炭素に分解されるプラスチック材料が開発されるに至っています。一部の材料は既に商業化されて各種の射出成形品に使用されています。
生分解性プラスチックで成形された成形品は、使用後に土中に埋設したり、生ごみと一緒にコンポストへ混ぜることによって、分解されてしまいます。地球環境の保全や地球温暖化防止には最適な素材です。
工業製品や包装資材として生分解性プラスチックを使用するためには、ある程度の強度や耐熱性、食品衛生基準のクリアー等が必要になってきますが、これらの要求を満たした素材が次々と商業化に成功しています。
今年の3月に開催される愛知万国博覧会(愛・地球博)では、レストランで使用される食器は生分解性プラスチックで成形されたものが使用されることになっており、2月に開会した通常国会の小泉内閣総理大臣の施政方針演説でもこのことが明言されています。
家電分野、自動車内装部品、パソコン関係、食器などで、今後3年ぐらいの間に様々な分野で、生分解性プラスチックは実用化が急速に進むものと考えられます。
以下に、主要な生分解性プラスチックを紹介します。
■ポリ乳酸(PLA)
とうもろこしやじゃがいも等から生産したスターチ(でんぷん)のみから合成されたプラスチックで、現在もっとも工業化が進んでいる素材です。
耐熱性、強度向上が可能なグレードが登場し、家電部品、コンピュータ関連、リターナブル食器(食器洗浄機で使用可能なお椀、カップなど)に実用化されています。
耐熱グレードでは金型温度を110〜120℃に保持しなけらばならない点、離型が非常に困難な点が指摘されていますが、これらを解決する製法も開発がなされています。
■ポリブチレンサクシネート(PBS)
コハク酸に代表される軟質系バイオマス由来の生分解性プラスチック。ポリ乳酸が高硬度の成形品に適しているのに対し、PBSは柔らかい成形品に適しています。