LSRとは、Liquid Silicone Rubber(液状シリコーンゴム)のことです。
射出成形加工に使用できるシリコンゴムとして、従来は2種類の液状素材を混合させて成形加工する方法が主流でした。主剤と硬化剤をミキシングさせ、金型をカートリッジヒーター等で昇温させておいて、化学反応によって硬化させます。
近年では、ポリアミドに密着親和性が良好な液状シリコーンゴムが開発されるに至っています。このシリコーンゴムは、金型表面には密着しませんが、ポリアミド成形品には強力な接着力を生ずる特性を有しています。
したがいまして、2材質射出成形によって、ポリアミドとシリコーンゴムの複合成形品を生産可能です。
自動車部品のシーリング、家電部品のシール材、フィルター、パッキンなどに応用が検討されています。
多数個取り金型も実用化されており、ヨーロッパでは金型の開発が進んでいます。環境汚染防止対策や衛生用途に、このタイプの液状シリコーンゴムは、急速に応用が検討されています。
このほかにPBT用、PC用の選択接着性能タイプLSRがすでに開発されています。
LSRの射出成形では、専用のインジェクションユニットが必要になります。また、成形品の金型からの離型対策、取り出し対策も綿密な検討が重要です。
このような制約条件をクリアーしなければLSR成形品の生産システムは構築が困難ですが、ノウハウを確立してしまえば、大きなビジネスチャンスが潜んでいるといえるでしょう。
ポリアミド樹脂選択接着性能LSRは、信越化学工業(株)X-34-1625A/Bが著名です。
新しいタイプの射出成形材料として注目されており、金型技術の開発も着々と進められています。