プラスチックマグネットは、磁石の粉末を樹脂やエラストマーに混ぜた成形材料です。射出成形加工によって、形状の自由度の高い磁石成形品を生産することが可能です。
焼結磁石に比較すると、軽量で薄肉形状の製品にも対応が可能です。しかし、磁力そのものは焼結磁石の方が大きな値を示します。
磁石の粉末には、下記のような種類が使用されています。
(1)フェライト系
- バリウム・フェライト
- ストロンチウム・フェライト
(2)希土類系
- サマリウム・コバルト
- サマリウム・鉄・窒素
- ネオジウム・鉄・ボロン
またバインダーとしてはPA6、PA66、PA12等のポリアミド(ナイロン)が使用されています。
PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PVC(ポリ塩化ビニル)をバインダーとして使う場合もあります。
プラスチックマグネットは、金型の中で成形品に極性を付与させるために磁場を発生させる装置を内蔵させる場合があります。
キャビティ内に永久磁石を埋設する構造、コイルによる強制磁場を発生させる方法、成形機本体から磁場の供給を受ける方法等があります。
したがって、金型部品には磁性材料(鉄鋼、ニッケル等)と非磁性材料(ステンレス、銅合金等)の使い分けが必要になってきます。
また、磁石粉によって金型が強烈に摩耗しますので、耐摩耗性の向上対策が必要になります。
取り出された成形品どうしが、磁力でくっついてしまいますので、成形品の取り出し後の取扱い(トレイの工夫など)も大切なポイントとなります。