射出成形加工を行っている時に、成形機を一次停止したままにしておくと、射出シリンダーの中の溶融プラスチックが熱分解を起こすことがあります。
熱分解が発生すると、下記の現象が発生します。
1. 分子量の低下
- 成形品の重量ばらつき
- 成形品寸法のばらつき
- スクリュー切り換えポジションの不安定
- 成形品の強度低下
2. 粘度の低下
- 鼻たれ
- オーバーパック
3. 分解に伴うガス発生
- モールドデポジットの発生
- 成形品表面の光沢むら
- シルバーストリークの発生
- ボイドの発生
4. 色の変化
- 焼けの発生
- 色相のばらつき
熱分解は、樹脂温度×滞留時間によって発生しやすさが変化します。樹脂温度が高いほど、滞留時間が長いほど熱分解しやすくなります。
また、樹脂ペレットの中に水分が多く含まれているほど、熱分解が促進される傾向があります。また、射出シリンダー内の酸素残存量が多いほど、酸化分解が起きやすくなります。射出シリンダーの中に不活性ガスを注入することは、このような現象をおきにくくする効果があります。