筑波大学教授 白川英樹先生がノーベル化学賞を受賞されたことは、皆さんの記憶にもまだ新しいと思います。
白川先生の研究されていた内容は、導電性プラスチックに関するものです。導電性プラスチックは、電池材料や電子部品材料として、今後有力な材料として期待されています。
導電性プラスチック(高分子)は、下記のような種類があります。
- ポリアセチレン系
- ポリフェニレン系
- 複素環高分子
- イオン性高分子
- ラダー及びネットワーク状高分子
この中でも、ノーベル賞受賞の対象となったものが、ポリアセチレンです。
【図1】にはポリアセチレンの分子構造を示します。
ポリアセチレンは、アセチレンを重合してできる物質です。アセチレンは、ガスとしてかなり昔から使用されてきた物質です。このアセチレンをポリアセチレンに化学変化させる方法として有名なのが、「白川法」です。
■白川法
まず、トリエチルアルミニウムとテトラブトキシチタンという物質をトルエン中で反応させて、チーグラー・ナッタ触媒を作ります。この触媒を反応容器の内壁に塗りつけ、その後アセチレンガスを導入して重合反応させます。
このような方法により、銀灰色の金属光沢を持ったフイルム状のポリアセチレンを得ることができます。
近い将来、導電性プラスチックの中で、射出成形加工に適しているものが登場することも考えられますので、ノーベル賞に関連する技術が、私たちのより身近な存在になってくる日も、そう遠くはないように思えます。
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- 参考文献:『新素材3(有機材料編)』(財団法人放送大学教育振興会)