プラスチック射出成形機は、1921年にドイツで発明されたとされています。当初は、成形材料として、ポリスチレン樹脂、アセチルセルロース樹脂(酢酸繊維素プラスチック)、ポリメタクリル酸メチルエステル樹脂(PMMA、アクリル樹脂)が使用されていたと記録されているようです。
日本では、昭和12年(1937年)に、2オンスの射出成形機が輸入されました。輸入元は、エッケルト・チーグラー社でした。
日本の国内で初めて製作されたプラスチック射出成形機は、参考文献によれば、名機製作所製の8AHという機械です。駆動方式は手動で小型の成形機であったそうです。その後、第二次世界大戦の最中には数十台の射出成形機が製作された模様です。
戦後、昭和26年ごろには約60台の射出成形機が使われていたのと記録があります。
射出成形機の生産台数は、年代を追うごとに以下のような数字で推移をしています。
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射出成形機の駆動方式も、手動→油圧→電動と進化をし続けています。成形機とコンピュータの融合も進んでいます。二材質成形機、超臨界微細発泡成形機、熱硬化樹脂用射出成形機、超大型射出成形機、マイクロ成形機などバリエーションも多彩に開発をされています。
プラスチック射出成形機は、プラスチック素材の開発と協働しながら発展と普及を進めてきましたが、自動車部品や電気部品、飲料容器などの生活必需品へ大量のプラスチック製品を、安価でしかも高品質で普及させた功績は誰もが認めるところですが、反面、使用後のプラスチック製品の廃棄の問題や成形時に発生するスクラップの処理など、ネガティブな面での社会への影響も事実として認めざるえを得ません。今後の射出成形機の存在は、地球環境との共存を目指して、省エネルギーや環境調和型技術の開発が必要になってくることでしょう。
また、原油の高騰や資源枯渇という大きな課題を抱えているプラスチック産業ですが、リサイクル技術や植物由来プラスチックの開発などの科学技術の進歩によって、新しいフェーズが切り開かれてゆくものと想定されています。
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- 参考文献:『プラスチック技術読本』(桜内雄二郎 (株)工業調査会)