射出成形加工が可能な生分解性プラスチックの代表格として、ポリ乳酸(Poly Lactic Acid,PLA)があります。
ポリ乳酸は、さつま芋やじゃが芋、とうもろこしなどのでんぷんを素材とし、乳酸菌による発酵プロセスを経て、化学合成される植物由来のプラスチックです。射出成形が可能で使用後は、土中へ埋設することで、バクテリアによる生分解によって、水と炭酸ガスのみに分解されます。
つまり、「空気中の二酸化炭素と水」が植物によって光合成され、炭水化物(でんぷん等)に変化し、乳酸菌の活躍によってポリ乳酸に変化し、バクテリアの酵素によって、水と二酸化炭素に再度生分解されます。
このようにポリ乳酸は、地球環境の保護に大いに期待されているプラスチックです。
最近では、ポリ乳酸のアプリケーション素材の研究開発が進んでいて、以下のような素材が開発されるようになってきています。
- デプシペプチド−乳酸ブロック共重合体
- デプシペプチド−乳酸ランダム共重合体
- PLAグラフト化多糖
- 分岐ペプチド鎖末端ポリ乳酸
- アミノ酸・乳酸ブロック共重合体
- 8armsPEG−乳酸・ブロック共重合体
- 櫛型ポリ乳酸
- デプシペプチド・乳酸−ポリエチレングリコールトリブロック共重合体
これらの素材は、毒性金属の混在がみられない特徴を持つものや、生体組織と親和性があるものがあり、医療用材料として応用が検討されています。
- ※
- 参考文献:『Close-up Nano Tech情報 プラスチックス』Vol.56、No.10、p15(木下洋一)