タップとは、金属の下穴にねじ跡(めねじ)をつけるための工具である。(ねじ切り加工(タッピングの種類とメカニズム、加工事例はこちら)タップ加工の課題について、トラブル項目毎に原因と対策をまとめて紹介する。
- トラブル1. めねじが拡大する
- トラブル2. めねじが縮小する
- トラブル3. チッピング(小さな先端の刃欠け)が起きる
- トラブル4. 欠損する
- トラブル5. 急速な摩耗
- トラブル6. 構成刃先が発生する(刃物に切削する材料が付着する)
表1 トラブルシューティング
トラブル項目 | 原因 | 解決策 | 推奨工具、選び方等 |
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1.めねじが拡大する | 公差の誤り | より低い公差のタップを選択 | - |
用途に適合しないタップ | 加工用途、被削材にあった工具を選定する | ツールガイドを利用する (※サンドビック社 外部リンクが開きます) |
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軸方向送りの誤り | 送り速度を確実に調整する | - | |
タップ速度が遅すぎる | タップ速度を確実に調整する | - | |
ツールホルダが適合していない 「ねじ山当り送りが過大」 |
加工機、工具、ツールホルダの組み合わせを最適化 | - | |
2.めねじが縮小する | 公差の誤り | より高い公差のタップを選択 | - |
タップの摩耗 | 耐摩耗性のあるタップに交換する もしくは交換時期を見直す |
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過度の引き抜き圧力 | タッピングアタッチメントを調節する | - | |
タップのドリル下穴が小さすぎる | ドリル径を広げる | - | |
タップ加工後に被削材が穴をふさぐ | ドリル径を広げる | - | |
3.チッピング(小さな先端の刃欠け)が起きる | 被削材/用途に適合しないタップ | 工具の選択をチェックする | ツールガイドを利用する (※サンドビック社 外部リンクが開きます) |
不適切な潤滑剤の使用、または潤滑剤の不足 | 最適な潤滑剤を使用する もしくは量を最適化する |
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穴の底部にタップが当たる | ドリル深さを増す、またはねじ深さを減らす | - | |
切りくずが詰まる | 工具の選択をチェックする | - | |
ドリル加工した穴で表面が硬化する | 穴あけに関する推奨事項を確認する | - | |
4.欠損する | トルクが高すぎる | トルクを設定して、タップホルダを使用する | - |
タップの摩耗 | 耐摩耗性のあるタップに交換する もしくは交換時期を見直す |
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不適切な潤滑剤の使用、または潤滑剤の不足 | 最適な潤滑剤を使用する もしくは量を最適化する |
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穴の底部にタップが当たる | ドリル深さを増す、またはねじ深さを減らす | - | |
タップ速度が速すぎる | 推奨切削条件を参照して、切削速度を下げる | - | |
切りくずが詰まる | 工具を見直す | - | |
タップのドリル穴が小さすぎる | ドリル径を広げる | - | |
5.急速な摩耗 | 用途に適合しないタップ | 耐摩耗性の高いタップを選定する | - |
不適切な表面処理 | 耐摩耗性の高い表面処理を用いる | - | |
不適切な潤滑剤の使用、または潤滑剤の不足 | 最適な潤滑剤を使用する もしくは量を適正化する |
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タップ速度が速すぎる | 推奨切削条件を参照して、切削速度を下げる | - | |
ドリル加工した穴で表面が硬化する | 穴あけに関する推奨事項を確認する | - | |
タップのドリル穴が小さすぎる | ドリル径を広げる | - | |
6.構成刃先が発生する (刃物に切削する材料が付着する) |
用途に適合しないタップ | 加工用途、被削材にあっ工具を選定する | - |
タップの摩耗 | 耐摩耗性のあるタップに交換する もしくは交換時期を見直す |
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不適切な潤滑剤の使用、または潤滑剤の不足 | 最適な潤滑剤を使用する もしくは量を適正化する |
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(サンドビック株式会社様 記事より引用)