加工部品や組立精度の一般的な測定項目は、外形、直径、基準面と軸の直角度、軸の真円度、円筒度などが挙げられますが、通常はノギスまたはマイクロメータを用いて1次元的な測定が行われます。このような測定法は、定盤や直線案内を基準データム面として、複合的な3次元測定を行いますが、幾何偏差(例:平面度、平行度、直角度、同軸度など)や曲面形状の精密測定は対応できません。 CNC加工機などの普及により、上記の測定方法では対処できない、複雑で高精度な加工が成される状況から、これらの測定には、3次元測定器(CMM:Coordinate Measuring Machine;写真-1)が適しています。 |
3次元測定器には、次のような効果が挙げられます。
(1)3次元測定器の効果
(1)複雑形状の測定が可能
■例
2個の基準穴位置を組立基準とするときの、組立基準からの形状計測
(2)測定効率が向上
■解説
3次元測定器を用いない場合は、測定物の基準線(面)と計測機器側の基準線を正確に位置決めさせる必要がありますが、3次元測定器では、傾いていても計測可能です。
(3)熟練不要な高精度測定が可能
■解説
測定者のくせ(測定力のバラツキ、基準線の位置決めのクセなど)を回避できます。
(4)測定のインプロセス化
(5)膨大な測定データの統計処理が可能
(2)3次元測定器の構成
基本構成は、測定器本体、測定プローブユニット、XYZ軸駆動制御システム、コンピュータシステム、手動操作ユニット、周辺機器から成っています。
(3)測定原理
測定プローブ(接触子)で測定対象に接触し、そのときのプローブ座標を3次元空間座標として光学式スケールやレーザー干渉計などで測定し、形状情報として利用するもの。コンピュータソフトを用いてNC機械と同様に駆動制御が可能であり、また膨大な測定データの演算処理が可能なため、複雑な曲面を含む色々な測定対象物を自動で測定できます。