長さの標準はKr86(クリプトン86)ランプのスペクトル線の波長から導き出されますが、実際の生産現場などではこの方法は適していないため、高精度の代替標準ゲージが用いられます。ブロックゲージは最も精度の高い測長用標準ゲージの代表です。代表的な最小読み取り値は0.01mmと0.001mmの2種類です。
ブロックゲージの解説
(1)ブロックゲージの特徴
・ | 端度器の一種で、長方形断面の両端が平行な平面に鏡面仕上げされている。 | |
・ | 測定器の精度検査や機械工作用に利用される。 | |
・ | 長さ精度が非常に高く、AAA級品では、呼び寸法25mm以下では0.03μmを保証している。 | |
・ | 測定面を密着させて使用するので、少ない数のブロックゲージで多くの寸法測定に応用できる。 | |
・ | 材料は高炭素鋼が主だが、耐しゅう性の点でステンレス鋼、耐摩耗性材料としてクロムカーバイド、タングステンカーバイドなども採用されている。 |
(2)ブロックゲージの寸法精度
・ | ブロックゲージには5等級の寸法精度のランクがあります。AAA級、AA級、A級、B級、C級。このうちAAA級を除く4等級はJISで規定されています。さらに工作用にW級を供給するメーカーもあります。表1に100mm以下の呼び寸法に関する寸法誤差表を示しました。 |
【表1】ブロックゲージ等級と寸法誤差単位(±)μm
単位(±)μm
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(3)ブロックゲージ使用上の注意点
・ | 使用目的のうち、最も高い要求精度を基準とし、それよりも1ランク等級の高い等級のブロックゲージを選定すること | |
・ | 測定面にキズをつけないこと(キズがつくと、キズの周囲にかえりが生じ、そのまま密着させると、相手のブロックゲージにもキズをつけてしまう。) | |
・ | 木製台や布上で作業すること | |
・ | 必要寸法のブロックゲージのみを収納箱から出して使用すること | |
・ | 必要寸法の組立ては、最小個数で組立てて誤差を小さくすること。そのために、最終桁の数字のブロックゲージから順に選定して、組立用ブロックゲージを選定すること |