計測工学
- 高精度の測定や位置決めを要する装置構造では、アッベの原理にしたがい、測定線(位置決めワーク)と目盛線(リニアスケールなど)を、同一直線上に配置させることが設計原理として好ましいです。
- 精密計測を行う上で、精度に悪影響を与える外乱要因として、[1] 振動、[2] 熱変位/熱変動、[3] 電気ノイズなどが挙げられます。ここでは、センサ素子などを用いて計測を行う場合の電気ノイズについて解説します。 (1)電気ノイズの影響 センサを選定する場合、その感度の良いものを選びがちですが、センサの感度が高ければ高いほどノイズの影響も受けやすくなります。これは、センサが周辺環境からノイ
- 静特性と動特性 (a)静特性 ■「静特性」とは 入力が時間に対して変化しない場合の特性。感度、直線性、ヒステリシス差などがあります(【図1】参照)。
- ここで使う計測器は、長さや質量、温度などの物理量を測る測定機器と、表面粗さや光沢など工業量を測る測定機器を含みます。以下では、計測器に要求される基本性能と特性を解説します。 (1)測定器の適正な選択 測定対象物の加工公差(要求計測精度)と、それを測定する測定器の精度との比は次のようである。
- (1)精度と誤差について 誤差と精度の言葉の関係は、測定結果や計測器の性能を満足いく性能ととらえるか、逆に性能不備としてとらえるかで使い分けられる概念です。 ■誤差とは 測定値から「真の値」を引いた値。ただし、誤差を伴わない「真の値」が得られないので「近似値」を誤差として取り扱う。 (2)「正確さ」、「精密さ」、「精度」について(【図1】参照) ■「正確さ」とは 偏りが小さい程
- 引き続き、各種の硬さと測定機器の解説を行います。 ブリネル硬さ 球形の大きなくぼみで測定するため、材料構造の不均一性があるもの(鍛造品、焼なまし/焼ならし品)などに適す。 圧子として直径1、2、2.5、5、10の鋼球、または超硬合金球を用いて、試料面に球分のくぼみを付けたときの試験荷重F(N)と、くぼみの表面積S(mm2)とから算出する硬さ。 試験荷重は圧子直径で異なる。
- 硬さは硬さの量そのものを測定するわけではなく、実際は長さの次元の測定値と硬さの程度を測定方法により結びつけることにより硬さの測定を行っている。 硬さの測定方法は、大きくわけて二つある。 試料表面に押し付けた圧子の押し込み量を測定する方法 ハンマを試料表面に落としたときの反発高さを測定する方法 各種の硬度測定法(ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ)と機器 ビッカース硬さ:HV
- LCA(ローコストオートメーション)では「硬さ」の性質は非常に重要です。金属材料の素材の硬さと熱処理による表面硬さの関係や、ねばり強い靭性と脆さ、柔らかいが耐摩耗性のあるプラスチックなど、素材選択の基礎知識として必要になります。 硬さの性質には、次のような多くの性質と関係があります。以下に事例を用いて解説します。 材料に変形を与えたときの強さ 粘さやもろさ 展延性 引っかき強さ
- 3次元測定器は任意の基準に対する精度測定や、平行度、同軸度などの幾何偏差が直接測定できるなどの利点がありますが、従来の測定方法と基準面(基準線)の定義が異なってくるためこの点の注意が必要です。ここでは、ダイヤルゲージを用いる従来の測定結果と、3次元測定器による結果の違いを解説します。
- 加工部品や組立精度の一般的な測定項目は、外形、直径、基準面と軸の直角度、軸の真円度、円筒度などが挙げられますが、通常はノギスまたはマイクロメータを用いて1次元的な測定が行われます。このような測定法は、定盤や直線案内を基準データム面として、複合的な3次元測定を行いますが、幾何偏差(例:平面度、平行度、直角度、同軸度など)や曲面形状の精密測定は対応できません。
- 工場で角度、半径、厚さや隙間などの度量を便利に測定する道具として、標準ゲージがあります。これらの材料は、次の条件を備えたものを選定しています。
- 長さの標準はKr86(クリプトン86)ランプのスペクトル線の波長から導き出されますが、実際の生産現場などではこの方法は適していないため、高精度の代替標準ゲージが用いられます。ブロックゲージは最も精度の高い測長用標準ゲージの代表です。代表的な最小読み取り値は0.01mmと0.001mmの2種類です。
- ダイヤルゲージは、測定子の直線運動(または円弧運動)を機械的に拡大し、その動きを指針と目盛で測定する長さ測定器で、代表的な最小読み取り値は0.01mmと0.001mmの2種類です。
- マイクロメータは、10μmまたは1μmの単位で高精度に測定する必要がある場合に使われる、代表的な精密測定器です。
- ノギスは、機械加工の粗仕上げ、中仕上げ時に加工部品をチェックしたり、公差が大きな加工部品の寸法を測定するときに使用されます。最小読取り値は0.05mm、または0.02mmのものがあります。
- 始めに、「計測」と「測定」の言葉の解釈を明らかにします。
- モノづくりのプロセスやその手段の治具・自動機などは、対象物を測る(数値化する)ことで、モノの状態の良し/悪しの判断が出来ます。自動機や加工機などは、部品精度が悪いモノを使うと組立作業に膨大な負担がかかったり、個体差の大きな加工機となります。したがって、加工部品が設計寸法を満たしているか、組付け精度が目標値を満たしているかなどを計測できることが重要です。以降では、各種の計測機材とその使い方を解説