直線案内レールは、取付面基準に対して垂直方向、水平方向の2方向にねじ締付けにより固定されます。この直線案内レールは長い弾性体なので固定用ボルトの締付け力により変形を生じうねり誤差になります。ここでは、垂直方向、水平方向それぞれのねじ締付けのノウハウを解説します。
(1)レールの垂直方向の取付方法
リニアモーションガイドの垂直方向の運動精度は、2個のモードから成っています。(【図1】参照)
- 固定用ボルトピッチに応じた変動
- 転がり軸受用ボールの通過振動
1.の要因は、レール固定用ボルトの締付けにより、レールが変形を生じるためです(【図1】)。対策はボルトの締付けトルクが均等になるようにトルクレンチを使用し、軽く締付けで全体を固定した後に、増締めで固定する要領です。
高精度品はボルトでレールを固定した状態で仕上げ加工し、ボルトの締付け誤差を最小にするなどの工夫がなされています。 レールの取付面は研削加工で真直度と粗さが高精度に仕上げられています。また、レールの取付面も一般には研削加工で、同様の加工精度を出します。しかし、細長い形状のために、取付基準面に、隙間無く固定する必要があります。
水平方向の取付には、リニアロック(ミスミ LLT)が便利です。(【図2】参照)
■使用例
- レールの固定用ピッチ穴と同じピッチで、リニアロック取付穴加工を行なう。
- リニアロックを取付穴に挿入後、リニアロックツバ部の偏心によりレールを取付面に押し付ける。
- リニアロックの固定用内部ねじを締付けて固定。
リニアロックの締付けも、1)のレールの固定ねじの締付けと同時に行ないます。ダイヤルゲージなどで、レールの垂直・水平方向のうねり状態を確認しながら固定を行ないます。