概要

搬送不安定はローラ部以外の要因も多くある。このため搬送機構のパスラインの安定化と調整容易さを実現する機構構造や搬送速度の適正化など構造面と使用条件面からの対応が必要。

解説

ここでは、ローラ搬送部以外の機構部について解説し、まとめとしてガラス基板の薄板軽量化に対応するための搬送機構設計の勘所を示した。

  • 生産ラインでは、搬送ローラ部以外の機構に関係した色々な要因により搬送ローラと基板間での摩擦力変動が生じている。下記に代表例を示した。
  1. 隣接する装置の振動により搬送のパスラインがずれる。
  2. 搬送機を設置している床の高さが変動し、搬送機間の基準高さのずれからパスラインがずれる。
  3. レイアウト変更を頻繁に行うが、搬送機のパスラインの調整機構がうまく設計されていないため調整に膨大な時間がかかり、さらに、稼動初期の搬送トラブルが避けられない。
  • 表1に薄板軽量化の代表的な課題と搬送機構の対応事例をまとめた。

【表1】基板の薄板軽量化による課題と対応事例

代表的な課題 搬送トラブル事例 搬送機構の対応事例
自重によるたわみ量の増大 基板が搬送機内や加工テーブル先端で引っかかり基板が停滞状態にあるところに次の搬送基板が乗り上げ、過剰負荷力によりカケや割れを生じる。 <新規設計の場合>
  1. 搬送ローラの配置適正化
  2. 加工テーブルの前後に案内ガイドを装着
<改造設計の場合>
中央部に補助ローラ増設等
基板のうねりで搬送不良(蛇行走行) 基板の平坦精度が悪いためローラ接触点で自重の変動が大きい。このため搬送の摩擦力に差異が生じ蛇行する。 搬送ローラ位置の適正化
[搬送-5(自動化ノウハウ編)図1参照]
軽量化のため摩擦力が小さくなり搬送不安定になりやすい 搬送ローラの回転速度が速すぎると、空回りや急発進が生じ衝撃でカケや割れを生じる
  1. 搬送ローラ回転速度の適正化
  2. ローラ接触部材の選定
全ラインに渡り搬送不安定が続く 厚い基板と薄い基板を混流生産する場合、搬送トラブルのため無稼働時間が長くなる
  1. 搬送ライン全体のパスラインの高精度調整や振動抑制、搬送条件適正化など
  2. 上記が可能なように調整機構を改良。

以上より、ガラス基板の薄板軽量化に対応するための搬送機構設計の勘所を次に列記した。

  1. 基板を支える搬送ローラの位置、個数、接触部材(ゴム系、プラスチック系)の摩擦係数の選定、補助ローラの活用
  2. 搬送機内部および搬送機間での搬送ローラの高さ調整がしやすい構造
  3. 搬送ローラの上面(接触部)が同一平面として組み付けられる構造と組み付け作業用基準ブロックなどの活用
  4. 搬送検知センサの再選定(センシング領域、薄板ガラス適応センサ)
  5. 洗浄プロセス用搬送ローラの専用設計(接触面積を大きくし摩擦力を確保するなど)