陽極酸化皮膜厚さ試験
陽極酸化皮膜厚さ試験は、次のいずれかによる。なお、渦電流式測定法による陽極酸化皮膜厚さ試験に用いる試験片は、陽極酸化皮膜に損傷を与えない方法で複合皮膜の塗膜を除去してもよい。
a) 顕微鏡断面測定法
JIS H 8680-1による。製品の3ヶ所以上から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚さを測定し、その平均値を小数点以下1位に丸めて平均皮膜厚さとする。
〈概要〉皮膜の垂直断面を顕微鏡で観察して、皮膜厚さ(μm)を求める方法である。正確な測定値が得られるので測定値は、他の測定法の補正に使用できる。(JIS H 8680-1(1998)より)
b) 渦電流式測定法
JIS H 8680-2による。製品の3ヶ所以上から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚さを測定し、その平均値を小数点以下1位に丸めて平均皮膜厚さとする。
〈概要〉高周波電流の流れている誘導コイルを試験片に近づけると、素地に高周波渦電流が生じるが、そのときの距離によって変化する誘導コイルのインピーダンスを測定して、その値を皮膜厚さに変換する方法で、非破壊の測定方法である。この測定法では、素地の性質、表面の粗さおよび平面度が測定値に影響を及ぼしやすいので注意する。(JIS H 8680-2(1998)より)
塗膜の付着性試験
(1)碁盤目試験
碁盤目試験は、塗膜にクロスカットを入れて、塗膜の付着性を調べる試験をいい、JIS K 5600-5-6による。ただし、使用するセロハンテープはJIS Z 1522に規定する幅12mm以上とする。クロスカットの試験片への切込みは、陽極酸化皮膜に達することとする。塗膜の付着性は、塗膜のはがれで評価し、塗膜のいずれの升目もはがれが認められないものを25/25(はがれなかった升目の数/全升目の数)とする。
(2)沸騰水碁盤目試験
沸騰水碁盤目試験は、試験片を沸騰水に浸せきした後、塗膜にクロスカットを入れて、塗膜の付着性を調べる試験をいい、その手順は次による。
- a)
- 深さ150mm以上の容器に脱イオン水を深さ約80mm以上入れ、脱イオン水を95℃以上になるように保ち、この中に試験片を入れ、試験片が水中に60mm以上浸るようにする。
- b)
- 5h浸せき後、試験片を取出し、直ちに試験片表面の水分を取り除き、5min以内に塗膜の外観を評価する。続いて、セロハンテープによって、(本ページ上記)付着性を評価する。なお、試験片の周辺部および水面から深さ10mmまでの部分の塗装は、外観評価の対象としない。
塗膜の耐溶剤性試験
塗膜の耐溶剤性試験は、キシレンを浸した脱脂綿などで塗膜面をこすり、試験前後の塗膜の表面硬さの低下によって、塗膜の耐溶剤性を調べる試験をいい、その手順は次による。
- a)
- JIS K 5600-5-4(塗膜の機械的性質、引っかき硬度(鉛筆法))によって塗膜の鉛筆硬さを試験する。ただし、同じ硬度の鉛筆で5回試験し、4回以上破れなかった場合の鉛筆の硬度をその塗膜の鉛筆硬度とする。
- b)
- JIS K 8271(キシレン(試薬))に規定するキシレンを浸した脱脂綿などでa)の試験を行うのに十分な範囲の面積を焼く1秒間に1階の速度で、30回往復して軽くこする。
- c)
- 30min間放置した後、こすった部分の塗膜の表面硬さをa)によって試験し、試験前後の塗膜の表面硬さの変化によって耐溶剤性を評価する。
注釈
本試験の実施に当っては、室内の換気を十分に行う。
複合耐食性試験
複合耐食性試験は、紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験を行った後、キャス試験を行い、外観および腐食の発生程度を、JIS H 8602 附属書Aに規定するレイティングナンバ標準図表によって評価する。ただし、実測する場合は拡大鏡(倍率10~15倍、スケール入り)を用いて評価する。なお、この試験は、種類Cには、適用しない。