適用範囲
この規格は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の陽極酸化皮膜に関する全般的な規格であり、品質および試験方法を規定する。ただし、この規格は、次のものを除く。
a) バリヤー皮膜、b) 塗装またはめっきの下地皮膜、c) JIS H 8603に規定する硬質陽極酸化皮膜
使用環境別試験項目
皮膜の、適用される製品に必要な特性および品質は、用途を考慮して取り決めるものとするが、一般に広く必要とされる重要な特性と用途を下表に示す。(○印:試験項目)
使用環境 | 主な用途例 | 外観 および色 |
皮膜 厚さ |
耐食性 | 耐摩耗性 | 封孔度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アルカリ耐食性 | キャス耐食性 | 砂落し摩耗試験、 噴射摩耗試験 または 往復運動平面 摩耗試験 |
りん酸クロム酸 水溶液浸せき試験、 染料吸着試験 または アドミッタンス測定試験 |
||||
アルカリ滴下試験 または起電力式耐 アルカリ試験 |
キャス試験 | ||||||
乾湿・熱冷 | 湯沸し、なべなどの台所用品(加熱容器) | ○ | ○ | ○ | - | ○ | - |
湿潤・摩擦 | 流し槽、洗面器などの日用品 | ○ | ○ | ○ | - | ○ | - |
乾燥・摩擦 | 建築部材(屋内)・車両内装・家具部材など | ○ | ○ | - | - | ○ | ○ |
結露・ 大気暴露 |
建築部材(屋外)・車両外装・船舶用品など | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - |
乾燥 | 装飾品・反射板・家電部品など | ○ | ○ | - | ○ | - | ○ |
備考
- 1.
- 色については、着色されたものについて試験を実施する。
- 2.
- 使用環境区分の不明確な皮膜についての試験項目は、受渡当事者間の協定による。
皮膜厚さの等級
皮膜厚さは、平均皮膜厚さ(μm)によって表し、下表に適合しなければならない。
等級 | AA3 | AA5 | AA6 | AA10 | AA15 | AA20 | AA25 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
平均皮膜厚さ μm | 3.0以上 | 5.0以上 | 6.0以上 | 10.0以上 | 15.0以上 | 20.0以上 | 25.0以上 |
備考
定められた平均皮膜厚さの80%に満たない測定点皮膜厚さがあってはならない。
皮膜厚さの等級と主な用途例
皮膜厚さの等級は、製品の用途および仕様環境を考慮して選択するが、受渡当事者間で特別な協定がない限り、以下の表による。
皮膜厚さの等級 | 主な用途例 |
---|---|
AA3 | 反射板、家電部品(内部)など |
AA5 AA6 AA10 |
台所用品、日用品、家電部品、装飾品、家具部材、車両内装、建築部材(屋内)など |
AA15 AA20 AA25 |
台所用品、車両外装、土木・建築部材(屋外)、船舶用品など |
備考
用途上必要な場合は、受渡当事者間の協定によって平均皮膜厚さの等級によらず、最低皮膜厚さを取り決めてもよい。