アルカリ耐食性
皮膜の耐食性は、各種の環境に耐える特性で、用途によっては酸性、アルカリ性および塩水雰囲気などの環境に耐える特性が要求される場合があるが、その品質は下表または次のキャス耐食性の表に適合しなければならない。
等級 | アルカリ滴下試験 または 起電力式耐アルカリ試験 |
|
---|---|---|
A種 (s) | B種 (s) | |
AA3 | - | - |
AA5 | ||
AA6 | 30以上 | 90以上 |
AA10 | 50以上 | 150以上 |
AA15 | 75以上 | 225以上 |
AA20 | 100以上 | 300以上 |
AA25 | 125以上 | 375以上 |
注釈
※A種、B種の区分は特性の違いによる区分。(A種:屋外一般環境、B種:屋外苛酷環境 JIS H 8602 (2006)(改定前))
※等級AA20以上の皮膜には、起電力式耐アルカリ試験を行い、アルカリ滴下試験を適用しない。
キャス耐食性
等級 | キャス試験 | |
---|---|---|
試験時間(h) | レイティングナンバ RN | |
AA3 | - | - |
AA5 | ||
AA6 | 8 | 9以上 |
AA10 | 16 | |
AA15 | 32 | |
AA20 | 56 | |
AA25 | 72 |
耐摩耗性
皮膜の耐摩耗性は、摩耗環境に耐える特性であり、用途によっては摩耗性物質の衝突による摩耗、摺動摩耗および転がり摩擦などの摩耗環境に耐える特性が要求される場合があるが、その品質は下表のいずれかに適合しなければならない。
なお、噴射摩耗試験の耐摩耗性は、導通判定法によることとし、素地が露出するまでの摩耗時間[WJ(T)]で表す。
等級 | 砂落とし摩耗試験 (s) |
噴射摩耗試験 (s) |
往復運動平面摩耗試験 (ds/μm) 1) |
---|---|---|---|
AA3 | - | - | - |
AA5 | 30以上 | ||
AA6 | 150以上 | ||
AA10 | 500以上 | 24以上 | |
AA15 | 750以上 | 36以上 | |
AA20 | 1000以上 | 48以上 | |
AA25 | 1250以上 | 60以上 |
注釈
- 1)
- 1μmの皮膜を摩耗するのに要した往復運動の回数。
封孔度
封孔度は、各種環境に適用した場合の耐食性、耐汚染性などを左右する重要な特性であり、特別な用途として封孔しない皮膜が要求される場合およびAA3を除き、下表のいずれかに適合しなければならない。
等級 | りん酸-クロム酸水溶液浸せき試験 (g/dm2) |
染料吸着試験 1) (汚染度) |
アドミッタンス測定試験 2) (μS) |
---|---|---|---|
AA3 | - | - | - |
AA5 | 0.03以下 | 0~2 | 20以下 |
AA6 | |||
AA10 | |||
AA15 | |||
AA20 | |||
AA25 |
皮膜の呼び方
皮膜の呼び方は、皮膜の等級および下表に示す品質項目の記号の順による。ただし、受渡当事者間の協定によって品質項目の記号を省略することができる。
品質項目 | 試験方法 | 記号 |
---|---|---|
耐食性 | アルカリ滴下試験 | KS |
起電力式耐アルカリ試験 | KC | |
キャス試験 | LC | |
酢酸酸性塩水噴霧試験 | LA | |
中性塩水噴霧試験 | LN | |
耐摩耗性 | 砂落とし摩耗試験 | WRF |
噴射摩耗試験 | WJ(T) | |
往復運動平面摩耗試験 | WRW | |
封孔度 | りん酸-クロム酸水溶液浸せき試験 | SP |
染料吸着試験 | SO | |
アドミッタンス測定試験 | SA | |
以下省略 | - | - |
- 例1:
- 等級AA15、キャス耐食試験および耐摩耗性(噴射摩耗試験)の皮膜
AA-15・LC-WJ(T)
AA-15(省略した場合) - 例2:
- 等級AA10、アルカリ耐食性(起電力式耐アルカリ試験)B種、耐磨耗性(砂落とし摩耗試験)の皮膜
AA-10-B・KC-WRF
AA-10-B(省略した場合)