陽極酸化処理は、通常アルマイト処理ともいわれていますが、これは昔、日本の理化学研究所の登録商標であったからです。この処理を施したものをアルマイト製品といっています。アルマイトの処理方法と皮膜の構造について考えてみます。
(1)処理方法
アルマイト処理は、【図1】に示すように、アルミニウム製品を陽極(+極)とし、対極にカーボンなどを用いて、電解浴中で電解(直流電気を流します)します。製品の表面のアルミニウムが溶解し、同時に発生した酸素と化合して酸化アルミニウムの膜が生成します。これを陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)と呼んでいます。
(2)皮膜の構造
通常、酸の水溶液を電解しますと、陽極からは酸素が発生しますが、陽極がアルミニウムの場合には、酸素は発生しません。陽極で発生した酸素は、酸素ガスになる前にアルミニウムと反応して酸化アルミニウムの皮膜を形成します。皮膜ができるまでの過程を【図2】に示しました。
電解初期にできたバリアー層から多孔質(ポーラス)の皮膜の成長が始まり、電解時間の経過とともに、このポーラス皮膜は成長して所定の厚さに達します。図から明らかなように、アルマイト皮膜は、電気を通すが厚さが変らないバリアー層と、電気を通さないが厚さが増大するポーラス皮膜で成り立っていることがわかります。