プラスチック成形材料は、一般にペレット状態に加工されて、紙袋などに入れられて原材料メーカーから搬入されてきます。
ペレットには、大気中の水分が吸湿されていますので、水分が多く含まれたままで射出成形加工してしまいますと、樹脂の種類によっては加水分解を発生したり、物性が低下したりする場合があります。また、銀条(シルバーストリーク)が成形品の表面に発生したり、ガスによるショートショットや焼けが発生しやすくなる場合もあります。
そこで、成形材料の多くは、ホッパードライヤーへ投入する前に、箱形乾燥炉で予備乾燥させることが必要になります。
予備乾燥は、適切な乾燥温度と乾燥時間を守ることが推奨されます。適正な温度以下でいくら長時間乾燥させても、水分は思うように排除できない場合があるからです。予備乾燥が終わった材料は、できるだけ早く使いきるようにします。余ってしまった材料を後日使用する場合には、再度の予備乾燥を行いましょう。
【表1】には、特殊なプラスチックの予備乾燥条件を示しています。
【表1】プラスチック成形材料の予備乾燥湿度
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プラスチック成形材料のペレットは、一般的に空気中の水分をある割合で吸水しています。
吸水量が多いと、射出成形機のシリンダーの中で溶融混練している過程で樹脂が加水分解を起こしたり(水を引き金として化学分解を起こす樹脂もあります)、射出成形した際に成形品の表面に銀条(シルバーストリーク)が走ったり、気泡、光沢不良、転写不良などを起こすことがあります。
そこで、成形材料のペレットは、あらかじめ乾燥装置に投入して水分を除去することが必要になります。
予備乾燥を適切に行わないと、流動性の変動や物性の低下、成形不良を引き起こす原因となります。
乾燥装置には、以下の種類が主に使用されています。
(1)熱風乾燥機
ホッパードライヤーと箱形乾燥炉が代表的な装置です。熱風をペレットに吹きかけて水部を蒸発させる方法です。
一般的な簡便な乾燥方法ですが、水分を充分に取り除きたい場合には適していません。
(2)除湿熱風乾燥機
空気中の水分をあらかじめ除湿した後、熱風としてペレットに吹きかけて水分を蒸発させる方法です。
乾燥に使用した熱風は再循環させて再度除湿して使用しますので、熱損出が少なく、合理的な乾燥が可能です。
PBT等の乾燥を行う際には適しています。
(3)減圧伝熱式乾燥機
減圧した環境下でペレット中の水分を伝熱により蒸発させる方法です。低温での乾燥が可能となり、樹脂の酸化防止やペレット内の添加物の影響を低減が可能です。
また熱損出も少ない方法です。
今後の乾燥装置として注目されています。
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- 参考文献:『射出成形事典』p214 周辺・付属装置(久保英記 産業調査会(2002))