前回に引き続き、金型の強度計算でよく使用される専門用語をピックアップしてみましたので、意味を正しく理解しておきましょう。
■引張応力(ひっぱりおうりょく)
横断面積Aを有する平等真直棒が引張荷重Pを受けて、平衡状態にある場合、この棒を1仮想横断面で(1)と(2)の2つの部分に分けたと考えるとき、(1)は(2)から力Pで引っ張られて平衡を保ち、逆に(2)は(1)から同じ力Pを受けて平衡状態に置かれます。
この場合には力は仮想横断面上に一様の強さで分布するので、引張応力はP/Aと定義されます。
■圧縮応力(あっしゅくおうりょく)
横断面積Aを有する平等真直棒が圧縮荷重Pを受けて平衡状態にある場合、この棒を1仮想横断面で(1)と(2)の2つの部分に分けたと考えるとき、(1)は(2)から力Pで圧縮されて平衡を保ち、逆に(2)は(1)から同じ力Pを受けて平衡状態に置かれます。
この場合には力は仮想横断面上に一様の強さで分布するので、圧縮応力はP/Aと定義されます。
■せん断応力
横断面積がAを有する平等真直水平棒の一端を剛性壁(変形しない壁)に固定して、鉛直荷重Pが他の一端に作用するとき、棒の仮想鉛直横断面に生ずるせん断応力はP/Aと定義されます。
■歪(ひずみ)
物体が完全な剛体(一切変形しない物体のこと)でない限り、これに外力が作用すると、必ずなんらかの変形が生じて寸法や形状に変化が現れます。応力によって生ずる形状や寸法の変化の総称を、歪(ひずみ、starain)又は変形(deformation)と呼びます。
■比例限度
応力とひずみの発生量の関係が正比例となる関係が成立する最大の限度のことを、比例限度と呼びます。
■フックの法則
応力は歪に正比例するという関係。1678年にRobert Hookeが発表した法則で、材料力学の中でも最も重要な法則の一つです。
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- 参考文献:湯浅亀一、材料力学演習(上巻)、コロナ社