「構造軽量化技術-最適形状の設計(軽量化技術-14)」の構造軽量化技術で、断面二次モーメント(I)について解説しました。
- 棒状の構造部材を曲げようとする力に対して、曲がりにくさを示す技術用語として、断面二次モーメント (アルファベットのIで表記します)があります。この断面二次モーメントは構造部材の断面形状で変化させることが可能です。したがって、最適な断面形状で設計することで、軽量高強度な構造物が可能となります。
- はりの構造部材の断面形状を工夫することで、軽量でたわみの少ないはりを設計することが可能です。
- この設計に有用なのが「はりのたわみ(機械工学と自動機設計-17)」で解説したはりのたわみの算出法です。
- このたわみの算出式の中の(I)、(E)、(L)を最適に設計することで、最大たわみδmaxを小さくできます。
1)断面二次モーメントの小さな断面形状を選定
2)構造部材の縦弾性係数(ヤング)率
3)はりの長さを短く設計する
例題
長さ1mの片持ちばりの自由端に、1kNの集中荷重がかかる機構部の最大たわみδmaxを算出。
縦弾性係数=200GPa、はりの断面形状は幅=50mm、高さ=70mmの長方形とする。
解説
- 長方形の断面二次モーメント(I)の算出(「構造軽量化技術-最適形状の設計(軽量化技術-14)」参照):I=(1/12)bh3を利用
I=(1/12)bh3 = (1/12)50・703 = 1.43 x 106 (mm4)
- はりのたわみ算出式を用いて最大たわみを算出できます。この場合、「はりのたわみ(機械工学と自動機設計-17)」のはりのたわみ係数(β)の表から、片持ちばり構造で集中荷重の場合のβ=1/3を採用。
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