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無給油ブッシュのトラブル事例

不具合事例1:手動式上下移動機構の場合

図1の装置は手動ハンドルの回転にねじを用いて、直線運動に変換する機械要素を用いた移動装置である。

図1.上下移動機構の改造前の構造図

図1.上下移動機構の改造前の構造図

上下に固定フランジが配置されており、中心部にある移動フランジが間を上下に移動する。荷重は移動フランジの中心部下向きに作用する。無給油ブッシュはねじの両端と移動フランジに配置されており、これらの無給油ブッシュは固定フランジと移動フランジに圧入で固定されている。これらの無給油ブッシュの機能は次の通りである。

表1.無給油ブッシュの配置・機能

無給油ブッシュ配置 機能
ねじの両端 ねじの滑らかな回転運動とねじの軸方向の拘束を目的に、つば付き無給油ブッシュを配置
軸の中央 軸との滑り案内を目的にカラータイプの無給油ブッシュを使用、軸は平面図で上下方向に2本配置

手動ハンドルの回転で、移動フランジの上下方向の移動が困難となった。この移動は、荷重を除去するとスムーズな上下方向の移動が得られた。

■原因
図2は移動フランジに作用する力を表した図である。

図2.移動フランジに作用する力

図2.移動フランジに作用する力

上方向に移動フランジが動く場合、ねじによる力が重心に加わる並進力と重心を中心に回転するモーメント力に分解される。この並進力が荷重より大きくならなければ、移動フランジを上方向に移動させることはできない。 この力を荷重に見合って大きくした場合、モーメント力も併せて大きくなり、このモーメント力によって発生する力が、ガイドの無給油ブッシュの両端を軸と直角方向に加わった結果、その動きを阻害した。

■対策
この現象は、ねじによって発生するモーメント力が軸の無給油ブッシュに直角方向の曲げ力として加わり、無給油ブッシュと軸の間でかじり現象が発生。移動フランジの直線動作を阻害する結果となった。従って、モーメント力を除去すれば対策ができることになる。図3にその対策構造を示している。

図3.上下移動機構の改造後の構造図

図3.上下移動機構の改造後の構造図

ねじを2本準備し、ねじによって発生する力を2本のねじで生ずる機構とし、この力によって発生するモーメントが、重心回りで時計回り(CW)、反時計回り(CCW)と反対方向に発生することで、打ち消し合う構造とした。この動作を発生する機能は、2本のねじをチェーンとスプロケットを用いて、手動ハンドルで回転したねじの運動を追加したねじへ伝え、同期して動く構造で実現した。

不具合事例2:回転クランク機構の場合

図4に回転軸の回転運動を上下軸の直進運動に変換するクランク回転機構の部分図を正面図と側面図で示す。

図4.改造前の回転運動を上下運動に変換する機械要素

図4.改造前の回転運動を上下運動に変換する機械要素

回転軸に取り付いたブロックの一端が回転軸により回転運動し、その他端に取り付いた公転軸が回転軸の軸芯を中心に公転運動する。公転軸に組付けた無給油ブッシュが上下軸を同方向に移動する。この時、上下方向の移動ストロークは図中2L寸法となる。
発生した問題は、上下軸の下端に取り付いた無給油ブッシュの組み立てが不可能な構造に設計している点である。

■原因
無給油ブッシュの円筒内面を公転軸に組み付けるための空間が確保されていないため、当該部品の組み立てができない。
■対策
図5に示す様に無給油ブッシュとハウジングを半割りの2体構造として、両部品をねじ固定する構造に改造し、対策を行った。

図5.改造後の回転運動を上下運動に変換する機械要素の側面図

図5.改造前の回転運動を上下運動に変換する機械要素

不具合事例3:無給油ブッシュ圧入後の回転・抜け防止の場合

無給油ブッシュをハウジングに圧入して軸を通して使用する際、使い方によってはハウジング内で無給油ブッシュ自体が回転する可能性がある。場合によってはハウジングから無給油ブッシュが外れ、故障や事故につながる。従って、無給油ブッシュをハウジング内で圧入以外に固定する構造が必要となる。
図6はハウジングの半径方向にタップ穴を加工し、無給油ブッシュの一面を取り、面取り部分を作り出し、この部分に止めねじをねじ込んで無給油ブッシュをハウジングに固定する構造を示している。

図6.対策前の無給油ブッシュの回転防止構造

図6.対策前の無給油ブッシュの回転防止構造

この構造の問題点は、止めねじの締め付けで無給油ブッシュの図に示す部分が、その内径方向に変形し、軸受け隙間の確保が不可能となり、軸のスムーズな移動が困難となる。場合によっては、隙間がなくなり、すべり軸受けの用途を果たすことが出来なくなる。
図7は図6に対しての対策を示している。

図7.対策後の無給油ブッシュの回転防止構造

図7.対策後の無給油ブッシュの回転防止構造

軸方向から無給油ブッシュとハウジングの圧入境界部に、無給油ブッシュを圧入後、タップ穴を加工、止めねじをセットすることで無給油ブッシュのハウジング内での回転を防止する。この構造は無給油ブッシュの内径の変形に及ぼす影響は小さく、隙間に問題を起こすことは無い。従って、無給油ブッシュのハウジング内で固定構造を考える場合、図7に示した構造を推奨する。

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