技術展望
- 500回記念として、海外での自動化技術教育の事例を紹介します。 ・日本の外交政策の考えの基本に、“軍隊を持たず、技術協力を手段とする外交政策”があります。 ・この外交政策の一つに、ODA予算(国税)で開発途上国に日本の得意技術を移転し、その国の国力強化に貢献することを狙いとする技術協力活動があります。 ・日本の自動化・メカトロニクス技術を技術移転の対象テーマとして、メキシコやトルコでODA活動が実施されています。 ・下の写真はメキシコで過去に実施された自動化・メカトロニクスの技術移転プロジェクトの関連写真です。 ・技術移転を受けたメキシコ側の機関は、CNAD(セナッド)と呼ばれる工業高校の教員を再教育する教育省傘下の機関です。 ・CNADのマークは、日本地図とメキシコ地図の間にスカラーロボットのアームが配置されており、両国を繋ぐ意味が込められています。 ・このCNADに自動化・メカトロニクス教育用機材と日本から技術教育を受けた専門インストラクターが居て、工業高校の教員を毎年再教育強化しています。タグ:技術展望,
- 21世紀には、高齢化が世界的に更に進むとの認識から、国際標準作成において高齢者及び障害者配慮を最重点テーマの一つに掲げられISOで検討が進められてきました。 ユニバーサルデザイン(Universal Design)の類似用語について ・ユニバーサルデザインの類似用語として、以下があります。 (1)アクセシブルデザイン(Accessible Design) (2)デザインフォーオール(Design For All) (3)バリアフリーデザイン(Barrier Free Design) (4)インクルーシブデザイン(Inclusive Design) アクセシブルデザイン(Accessible Design) ・Accessible=接近できる、利用しやすい などの意味です。 ・訳語として「高齢者・障害者等に配慮したデザイン」「高齢者・障害者等のニーズに配慮したデザイン」が採用されています。 ・しかし、Accessible=「接近できる、利用しやすい」の意味は、高齢者や障害者のみを対象とした概念ではありません。「親しみやすい」洗練されたデザインの考えにも通じます。タグ:技術展望,
- 高齢化が日本のみならず世界的に更に進むとの考えから、高齢者及び障害者に配慮された設計の重要性が高まっています。特に、消費者の多様化・高齢化と消費者保護の強化などの変化により、製品開発・設計段階での対応が重要です。ユニバーサルデザインと関連するデザインの考え方を解説します。 ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは ・特別な改造や特殊な設計をせずに、すべての人が、可能な限り最大限まで使用できるように配慮された、製品や環境のデザインがユニバーサルデザインです。 ・1985年頃にアメリカで誕生したデザインの考えで、日本でも1990年代の前半頃から普及しています。 ・ユニバーサルデザインには次の7つの原則があります。 =ユニバーサルデザインの7つの原則=タグ:技術展望,
- 2009年11月25日から28日までの間、東京ビックサイトで2009国際ロボット展が開催されました。今年で18回目となる国内最大規模のロボット総合展示会です。 ロボット技術は日本が世界の先端を走っているハイテク技術の代表です。モノづくりにおける国際競争力のさらなる向上を目指したロボット技術動向などが中心に紹介されました。 この中では、(1)製造コスト削減、(2)納期短縮、(3)熟練作業者への置換え、などへの解決手段として、a) ビジョンセンサー、b) 力センサー、c) オフラインプログラミングシステムなどが重要なキーテクノロジーとして紹介され、その上で人間の能力を超えたロボットの魅力としてd) 高速化、e) 大型化に対する技術革新を提言しています。 ピックアンドプレイス用高速ロボットとしてパラレルメカニズムロボットの事例紹介が多数展示されました。従来の直行座標系ロボットやスカラーロボットとは設計思想が異なるもので、次の特徴が挙げられます。タグ:技術展望,
- 21世紀の初めの10年間の代表的な科学技術の変革がガソリンの燃焼エネルギーと転がり摩擦からクリーンエネルギーと転がり摩擦とすると、21世紀の最後の10年間の頃にはバイオメカニズムが利用されつつあるのかも知れません。 ・【図1】はバクテリアです。 ・このバクテリアの運動方法の解説が【図2】で、フィラメント(繊糸)を回転運動させて泳ぐように移動します。 ・【図3】は回転運動するフィラメント部の細胞構造を機構的に解説した図です。 ・自動機の回転機構とよく似た構造を持っており、軸受け部=Rings、カップリング=Hook、駆動軸=Filament、筺体=Membraneが今の自動機の機構部品に当ります。 ・摩擦摩耗の問題も、生化学的な作用で現在のような寿命問題はないのかも知れません。タグ:技術展望,
- 2007年問題と称して「団塊の世代」の大量退職に伴う技術技能の伝承の欠落を危惧する問題提起が在ります。また、部品設計の些細な間違いやメンテナンスミスが重大な事故につながるリスクの大きい大規模な装置(原子力発電所など)やシステムにおいて、部品設計ミスの原因が設計技術の基本を教育されていなかった、などの原因解明の結果が報じられます。 しかし、21世紀の日本のモノづくりを実現してゆくこれからのエンジニアの方々には、過去の化石化した技術や技能に不必要に拘束されることなく、真の「モノづくり大国」の実現にふさわしい質的な向上心を欲します。 受け継ぐべきものは、真髄のみ(すなわちDNAとも称される思想)とも極論できます。このDNAを核として各人が咀嚼し、その上に新たな独創的コンセプトを創案し設計、構造として図面化することで人(エンジニア)に感動が生まれると思います。 革新的な装置設計を現物の装置に作り上げるには、今までにない部品加工や高精度な組立調整が必要になり、この場面で、高度技能が技術をカバーし、世の中に無かった装置を生み出します。技術と技能の進歩は、新たな創造の場で車の両輪の関係のように進化するものです。タグ:技術展望,
- 2005年11月に開催された「2005国際ロボット展」は、第2次産業いわゆる「もの造り」産業から第3次産業のサービス分野までを対象とした各種ロボット、ロボット応用システムとそれらの関連機器が展示されました。併せて、大学や研究機関からの参考出品も含めて過去最大規模となっています。 これらの背景は、製造業のグローバル化の進展により、国際競争力の更なる強化のための徹底したコスト削減や経営資源の合理化を、ロボット技術に求める傾向の現われといえます。 また、愛知万博での各種サービスロボットの実践的利用の実績から、産業界以外の医療、福祉、警備、災害など幅広い社会生活の場での、ロボット技術の応用展開が期待できることが示されました。 以下では「2005国際ロボット展」の展示ロボットを紹介します。 (a)ヒューマノイドロボット ロボットのASIMOが走ることができるまで技術が進歩しました。ヒューマノイドロボットが人間と共存できるには、次の技術課題の解決が必要とされています。タグ:技術展望,
- ローコストオートメーションの生い立ちは、60年代〜70年代の高度成長期における労働力不足に対する技術的手段からといえます。しかし、その後のグローバル競争の流れを受け、国内の製造業は、短命・高品位・多品種を短納期・低価格に生産することが恒常的に求められています。組立部門では、セル生産方式が代表的手段として進歩していますが、作業者への教育負担・品質維持の課題・生産拡大の限界などの課題が挙げられます。 ■国内の製造業を取り巻くマクロな課題 低賃金国への海外生産シフト 貿易摩擦回避策のためのW/W生産体制の構築 国内の労働力不足と高賃金対策 2007年問題(団塊世代の退職による技術・技能の空洞化リスク) 商品サイクルの短命化とコンカレントエンジニアリング策の限界 第三次産業の生産性の低さ ……… ……… 以下では、精密工学会:生産自動化専門委員会の2005年度レビューの要点を紹介します。タグ:技術展望,
- 工業デザインとヒューマノイドロボットデザイン '04年12月の新聞にホンダの「ASIMO」が走った、との記事がでました(【写真1】)。障害物を認識し、それを避けて走行できる性能に到達しました。今回は'05年新年号として「デザインの先端テーマ」について紹介します。タグ:技術展望,
- 運動方程式や微分記号など、あまり取り扱わない内容が続きましたので、今回は気楽な話題でコーヒーブレイクとしました。 2003年3月28日に東京農工大で開催されました精密工学会春季大会で、第14回マイクロメカニズムイベントとして(小さな)3ロボットコンテスト(ロボコン)が開催されました。その出場マイクロロボットと会場の雰囲気を紹介します。今年で15年目となります。 (1)会場の様子
- LCCとLCA 環境配慮(グリーン)設計とLCA LCAとLCA LCCとLCA 信頼性、保全性を評価する考え方として、LCC(ライフ・サイクル・コスト:Life Cycle Cost)があります。これは、システムや装置の一生(開発から廃棄まで)にわたる投資と出費(補修費、廃棄費など)を最小限にして最大の目標を達成させる考え方です。このLCCを定量的に分析・評価する手法としてLCA(ライフサイクル分析/評価:Life Cycle Analysis/Assessment)があります。タグ:技術展望,
- 賃金の高い先進工業国におけるローコスト(Low Cost)化の最も重要な課題はスピードです。即ち、<製品開発—製品設計—生産準備—量産—販売>の各ステージを短期間に実行することです。今回から、生産準備の短期化に必要な各種要素技術を実現させるLCA(ローコストオートメーション)の要点を解説します。 (1)新製品の開発〜量産化におけるLCAの要点 各ステージにおけるローコスト化のキーポイントは「繋ぎ」です。製品開発、設計、生産準備、量産の各担当部門が重複作業をすることなく、早くかつ効果的に仕事をこなし、本来の創造的な課題にあたることです。タグ:技術展望,